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この国のかたち〈1〉 (文春文庫)

価格: ¥562
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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大変面白く読むことができる ★★★★☆
日本の歴史に関するエッセイ集。
教科書的な羅列では無く、時代背景・現代との関連性などを
有機的なつながりを持たせており、歴史に立体感を感じて、
大変面白く読むことができる。
司馬史観と批判されることもある著者の作品だが、
一つのものの見方として、頭に入れて損は無いと思われる内容です。
余裕があれば関連の原著を直接自分で調べて、
自分の考え方を見つければ良いと思います。
司馬氏が悩み続けた終戦までの40年間 ★★★★★
・司馬遼太郎氏は、言うまでもなく日本史上希なほど緻密な分析で日本史を理解していた達人であり、明治維新とその前後の時代の理解度は他に比肩する人がいない程素晴らしい洞察眼と表現力を持っていた。「龍馬が行く」、「坂の上の雲」、「翔ぶがごとく」、「燃えよ剣」など、私自身も司馬氏の歴史小説を貪るように読み、感動に次ぐ感動を覚えたのだかから、司馬氏は私の人生の最大の恩師の一人である。「この国のかたち」シリーズ6冊は、小説司馬遼太郎氏の心の中を見せてくれる珠玉の随筆集である。

・司馬ファンの一人として驚いたのは、「この国のかたち」シリーズでは、いつも泰然自若している筈の司馬氏が「1904年の日露戦争以後1945年までの終戦の40年間がどうしても理解できない」と言っていることだ。司馬氏はこの40年間のことになると突如として「分からない、分からない」を繰り返して「日本史の巨人」らしからぬ狼狽を見せたことである。恐らく、太平洋戦争によって死を覚悟したトラウマ(PTSD)が司馬氏を生涯苦しめ続けていたのだと思うと司馬氏を尊敬する私としても心が痛む。達人の司馬氏も生身の人間なのだ。

・世界史、日本史、東洋史、哲学史、経済史、文明史、などの書物をここ数十年間読み続けてきた私にとって、司馬氏の「失われた40年間」は私なりに解釈すると以下のようになるのではないか。西欧はルソーなどの哲学者が民主主義理論をほぼ完璧に構築した後に、民主義革命など主要な行動を起こしているのは社会の最下層である民衆だった。だから、或る意味でかなりの程度「純粋な民主主義」が育って行った。ところが、日本の明治維新は、欧州で言う農工商の民百姓が革命を起こした訳ではなく、大名や家老などの支配階級の武士が革命を起こしたのでもなく、下級武士という或る意味では「中途半端な階層」が革命を起こした。彼らは民主主義のために革命を起こしたのではなく、「尊王攘夷」の4文字が象徴的に語っているように欧州列強に日本を植民地化されず日本を守るために明治維新という革命を起こしたと言うべきであろう。だから彼らは民主主義の本質を理解していた訳ではなかった。もし本当に民主主義の実現を目的としていたのなら、彼ら志士達は「尊王攘夷」と言わず「尊民攘夷」と叫び続けていた筈だ。

・このため明治維新によって日本の政治制度や経済基盤のインフラ等は急速に近代化が進んだが、「民主主義」という概念は、それ程は醸成されなかった。もちろん大正デモクラシー運動はあったし、福沢諭吉は「学問のすゝめ」で「天は人の上に人を造らず人の下に造らず」と喝破したが、それでもやはり真の意味の民主主義思想は明治支配層から草の根の庶民まで充分育ち切れなかった。民主主義思想を後回しにして近代化に邁進したために(欧米列強の植民地化を避けるためには止むを得なかったのかもしれないが)、三権分立もなく、憲法の内容も不充分なまま昭和期に突入したために、司馬氏の「この国のかたち」で何度も何度も出てくる「統帥権」が一人歩きしてしまい、あのような非合理極まりなく武士道の精神にさえ反する第二次世界大戦に日本が突進してしまったのではないかと私は解釈している。

・実を言うと「今現在2010年をもってしても、日本人は本当の意味の民主主義を未だ理解できていない」と私個人は思っている。過去数十年間の日本の政治を振り返ると、「これはどこか民主主義の本質とは違う」ということを日本国民の多くが頭のどこかでうっすらと感じているのではないかと思う。しかし、民主主義の本家本元である他の先進国の国々でさえ、真の意味の民主主義らしからぬ行為の数々をしているように私には思われる。日本の民主主義だけでなく、他国の民主主義を含めて、「民主主義思想」というのはまだまだ発展の余地を極めて多く残しているのではないかと思う。幸い、日本には忠・義・正義・潔という「武士道」と、性善説・徳・仁・礼の孔子精神と、諸行無常・無欲・色即是空の仏教精神といった世界に誇れる思想があるので、いつの日にか世界に範を示すことができる「西洋的民主主義を超えた日本人ならではの民主主義」が醸成されるのを草葉の陰から期待したい。

・もちろん、終戦で家も経済も制度も全てが焼け落ちて焼失した戦後日本人に司馬氏の歴史小説が与えた勇気は余りにも大きく、司馬史観の存在価値はこれまでもこれからも失われることはないと思う。我々日本人に余りにも大きな勇気と感動と示唆を与え続けてきてくれた司馬氏に対する私の尊敬は微動だに揺らぐことはなく、今後も司馬氏は私にとって永遠の師の一人であり続けることを最後に念押ししておきたい。

生身の司馬氏の心の中を垣間見られる随筆集として、司馬小説を読んだことのある方々にお薦めできる価値ある随筆集であると思う。
意表をつく歴史の奥 ★★★★★
 作者は日本の時間的縦軸と、中国・朝鮮・ロシアなどの近隣国との関係性で出てくる横軸の二つから浮かび上がる歴史的位相を、ある時は鳥瞰するように、ある時は虫の目で見ます。それを読者に着実に惜しげもなく提示する威力は、作者の知的膂力とでも言えるものです。
 日本の運命に知的な面で深く関わった宋由来の朱子学、戦前日本の将校たちに読まれた秘本、富永仲基や山片蟠桃などの知られざる江戸期の知性たち、薩摩の「テゲテゲ」なる方言、日本の風俗における南中国などとの共通点、本来霊魂など認めなかった仏教のありかた。
 いかに司馬遼太郎が博識に努めたか、その情報量に圧倒され、実に蒙を啓かれます。
 無数の人間たちが生きてきた歴史というものの限りなさを知ることの出来る本です。
これも小説と同列に扱うべき堂々たる司馬作品である ★★★★★
文藝春秋誌の巻頭に、1987年から96年2月になくなるまで、
およそ10年に渡り、120本を書き続けた随想録である。

ただし単なる随想ではなく、
司馬生涯のテーマである「日本とは何か、日本人とは何か」についての考察であり、
司馬自身が苦手といっているように、
私生活や私事について述べたものではないから、
これをエッセイというのにはためらいがある。
が、論文というには、色艶が美しすぎる。
これも小説と同列に扱うべき堂々たる司馬作品なのだ、としかいいようがない。

第一巻でとくに興味深かったのは、若衆に関する論述である。
オトナと若衆の二元的社会構造が、
現在にいたるまで日本の社会の基本をなしている、という。
司馬史観のひとつのポイントとして押さえておきたい観点であった。
日本人とは何か ★★★★☆
「日本とは、日本人とは何か」という命題についての司馬による随筆。
古代から近代まで幅広い時代の史実を通じて語られる日本(人)論は、著者の歴史への豊富な知識と過去から現代・未来を読み取る洞察力の高さを十分に感じることができます。
第1巻で私の印象に残ったのは、日露戦争勝利から大戦敗戦までの期間だけ他の時代から日本史として連続していないとの指摘、日本に独裁者が育たぬ風土があることを幸せに思うべきとの指摘。
随筆集のため、テーマごとに時代時代を断片的に切り取って語られているだけなので、「日本とは」という命題に対する答えは読者それぞれが見つければいいのではないでしょうか。
ok ★★★★★
ok