全曲で時に厳しく、時に優しいパティの世界が貫かれているが、本作のハイライトとなるのがイラク戦争を題材とした「レディオ・バグダッド」。ありったけの怒りと悲しみを込めた12分におよぶこの曲の、鬼気迫るほどの情念に圧倒される。黒人スピリチュアルのカバー「トランピン」で余韻を残しながら幕を引く本作は、21世紀の彼女を代表する名盤として語り継がれることだろう。(山崎智之)