この頃のパティ・スミスが最高!文学ロッカーの本領発揮の傑作・・・
★★★★★
私は個人は、彼女の最も「パティらしい」部分(言わば「パティの基本」)は、「ライブ・ステージにおける詩の朗読」にあると思っているから、正規のスタジオ盤ではなく、昔からもっぱらブートばかり聴いていた。
また彼女は、自らがオマージュを捧げる、他人の楽曲をオリジナル以上に上手く歌う。特にヴェルベット・アンダーグラウンド(ルー・リード)の楽曲を歌わせたら彼女以上の存在はないだろう。
パティの一番面白い時期と言えば、やはりこの「ラジオ・エチオピア」が録音された頃(1976年)だろう。次の「イースター」は、「女ロックンローラー」になってしまっていて、あからさまに扇情的なジャケも含めて、当時失望してしまった、記憶がある。私自身このアルバムから、彼女の作品を聴かなくなった・・・
反対に、本作は、持ち味のマイナー志向(懐古趣味と文学趣向とエキゾチシズム)が、バンドや製作者側の好サポートもあって、かなりエキセントリックかつ、名状し難い、「むき出し」の(裸の)時代を超えた名作となっている。
我国においては、「ストリートパンクの女王」という実に空疎で不可解な邦題がつけられていたが、この作品こそ、パンク文脈や<あの時代>とは、全く関係なく抜きん出た、素晴らしい作品だ。
特に彼女のテーマ曲のような、「アスク・ジ・エンジェルス」における、レニー・ケイのうねりまくるハイテンションなギターが凄い。
この作品は、パティ・スミスを聴いたことの無い人にこそ、おすすめの作品です。