タイトルに「阿修羅像」とあり、目次を見てゆくと光明皇后の名前が並んでおり、この本が「阿修羅像」のモデルが光明皇后であると言う仮説を論じている本であるというのはすぐに想定がつきます。
ところが、読んでみると、それに関する記述は最終章の後半部分のみで、何となく肩透かしをくらったような感じでした。

とは言うものの、光明皇后の人となりを追及するために書かれている冒頭の部分は、天平時代に至る様々な人間関係や勢力争いが非常に上手く纏められており、聖武天皇と光明皇后の業績も良く理解出来て、改めて当時の「歴史」について再整理が出来ました。

又、三蔵法師玄奘から道昭、そして行基に至る仏教の流れについても、非常に楽しく読むことが出来ました。

当初の期待とは違いましたが、非常に面白い本でした。
願わくば、もう少しタイトルの付け方を考えてほしかったなと思いました。