通常の薬の解説だけの事典徒は異なり、医師と患者の息吹が伝わってくる、本当に魅惑的な薬の処方例の事典だ。すべての診療科目で遭遇する疾患・副作用の治療処方例、ケアのポイントが示されている。毎年執筆陣を総入れ替えしているので、解説の筆致・処方例ともに毎年変わっている。新薬もバンバン登場し、思わず毎年買い換えたくなるような、実力以上の魅力が醸成されている。実は、他の医学事典と比べて索引の項目は決して多くない。しかし、超マイナーな疾患でも治療法が確立されていれば、処方例だけでなく、ケアのポイントも明快に記されている（逆にメジャーな疾患でも治療法が確立されていないと割愛されていて困るのだが・・・）同趣旨の事典に『今日の処方』（南江堂）と『治療薬・治療指針ポケットマニュアル』（羊土社）があるが、情報の質・量ともに心もとない。この『今日の治療指針』を３年ごとに買い換え、あとは『今日の治療薬』（南江堂）か『治療薬マニュアル』（医学書院）のいずれかを毎年買い換えていただければ、薬に関しては時代に乗り遅れることはまずあるまい。

＜ご注意＞　本事典と同じタイトルで、１９，９５０円（デスク版）というのがあるが、ここで紹介している１５，７５０円（ポケット版）と内容はまったく変わらない。異なるのは文字の大きさ、本体の重さで、通常はこのポケット版で事足りる。

【参考：当店前年度評価　★５つ】