お立ち台を持ってた犬
★★★★☆
テレビでの中島さんはいつも着物姿だけれど、この本の中に収録されている勘助との散歩風景の写真ではトレーニングウエア。さすがに着物というわけにはいかなかったようだ。
子犬のころ、勘助はピアノの足を一本削ってダメにしたことがあるという。そんな勘助は新築の家を作るときに、玄関前にお立ち台を作ってもらった。お気に入りのそのお立ち台から道行く人々を見下ろしていたという。いかにもニッポンの犬、という古武士のような勘助とオトーサンの15年の日々を綴ったエッセイだ。
日本人は犬の視線まで自分のそれを下げることができ、犬と同位置で対話できると考えている中島さんは、かくして甲斐犬となった。オトーサンのよき友、よき弟だった勘助。いい仕事してました。