Footsteps of Our Fathers
価格: ¥1,210
自身のレーベル、マルサリス・ミュージックからの第1弾となる本作でブランフォードはオリジナルをまったく演奏していない。取り上げたのは、オーネット・コールマン、ソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーン、ジョン・ルイスの代表曲。
なかでもたっぷりと時間を割いているのはロリンズとコルトレーンの曲。前者の「自由組曲」、後者の「至上の愛」はともに組曲形式の大作だが、それに真正面から取り組んでいるところにブランフォードの強い意欲が感じられる。
ロリンズ曲は先輩同様、ピアノレス・トリオで挑んでおり、ケレンのないストレート・アヘッドな演奏にすっかり魅了される。ジャズの伝統をしっかりと踏襲しながら、そこに自身のオリジナリティを加味するやり方は弟のウィントンに似ていなくもないが、ウィントンと決定的に違うのは、形を守りながらも形に縛られず、精神的にものすごく自由だという点。そのため、演奏に開放感があり、理屈抜きに聴く者を圧倒する。(市川正二)