登場人物は、アメリカン・フーズと呼ばれる架空の食品卸会社の社員、ジョーとラリー。ジョーは数年前までは会社の「金のなる木」だったものの、現在は不振にあえぐハンバーガー事業部の地域担当マネジャーで、リストラにあったばかり。一方、ラリーは当初お荷物とされたピザ事業部でシックスシグマを導入し、見事同事業を「花形」に育て上げた。2人は同社で郵便の仕分けの仕事をしていたころからの友人である。
リストラの直後だったこともあり、シックスシグマに批判的な目を向けるジョーに対し、ラリーはその有効性を実体験をもとに語りはじめる。架空のピザ事業部がシックスシグマを導入し、成功に至るまでのプロセスが示されているので、非常にわかりやすい。
本書には、「品質管理だけに力を入れるのではなく、一歩前に戻って、ビジネスのプロセスやオペレーションにおける<根本的な>問題が何かを定義することから始める」といったシックスシグマのコンセプトや、「測定」「分析」「改善」「管理」というプロセスがわかりやすく示されている。各プロセスの詳細には触れていないものの、わずか116ページでシックスシグマの概要がつかめる。
シックスシグマの導入を検討しているがそのメリット、注意点を知りたい経営者や、教養のために知っておきたいビジネスパーソンにおすすめしたい1冊である。(土井英司)