帝国海軍最期の実践的技術力の証となった艦艇群特集
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当雑誌に特集されている艦艇群は、実践的技術力を示した3種類の駆逐艦です。
島風はただ一隻の次世代甲型駆逐艦でしたが、戦略的には時機を得なかった高速艦艇で、
陽炎型/夕雲型を零戦とすれば、期待されながら実践に間に合わなかった烈風のような存在です。
秋月型は防空駆逐艦として空母直衛任務にあたり、島風とは逆に時代の追い風を受けながら十分に供給されなかった名鑑です。特に4番艦の初月は、レイテ沖海戦において退却する小沢艦隊の中、唯一隻、十倍以上の米艦艇と2時間近くも交戦し続け、敵からも賞賛された真の「わだつみの防人」です。
松型はそれまでの日本駆逐艦の系譜とことなり、米フレッチャー型に近いダメージ・コントロールと簡易量産に優れた駆逐艦で、実戦における評価は艦隊駆逐艦よりも高かったといいます。
いずれも艦首に菊のご紋章のない補助艦ですが、彼女らの活躍こそ忘れ去られてはならない記録だと思います。
図面も豊富に掲載された駆逐艦特集
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今回のモデルアート別冊 艦船模型スペシャルは「日本海軍 駆逐艦の系譜4 日本海軍最後の駆逐艦群」として、秋月型、松型、橘型を特集しています。
いずれも「決定版」といえるキットがなかなか無いなかで、豊富な図面・イラストが掲載されています。
特に秋月型については、各艦ごとにマストや艦橋構造物の相違点なども丁寧に解説されています。
いわば、「秋月型 モデルフィーベル」ともいえる内容なので、同艦の製作をなさる方には外せない号でしょう。
対象としたキットは新旧併せて
1/200 ニチモ 秋月竣工時
1/350 モノクローム 秋月最終時, 涼月 最終時
1/700 フジミ、アオシマ、ピットロード秋月型
1/700 タミヤ 島風
1/700 タミヤ 松型、ピットロード 橘型
を取り上げています。
また、ニューキットレビューではアオシマの自衛艦 ひゅうが も掲載されており、お買い得な一冊だと思います。