以前のグリーンが見せなかったお世辞たっぷりの言葉使い(「I Am Selling Soul」「Sometimes」)やポスト・モダンなゴスペル(「Living Again」)マシーンとしての面も見せている。なかでも一番目を引きそうな「Glockappella」では、このグッディ・モブの元メンバーはかつての仲間をけなしている。また、ティンバランド、ジャゼ・ファ、ネプチューンズ、DJ プレミアといった外部から招いたプロデューサーは、グリーンがブラック・ミュージックの全貌をつかむのに一役買っている。たしかに、うっとりするような「Childz Play」で用いためそめそしたスキャット・スタイルのラップのフロウを受け入れられないリスナーにとっては、グリーンは何度も聴いてみないとその良さがわからないかもしれない。ファレル・ウィリアムスとのデュエット(「Let's Stay Together」)では、少ない音数を思いのままに使ってふたりのソウル・ヴォーカリストをまとめ上げている。エキセントリックな面はともかく、本作が聴かせてくれるのはラップ界でこれまで一番過小評価されていた才能の、楽しめるサンプルだ。(Dalton Higgins, Amazon.com)