柊舎《目指せ、1日1冊!》
★★★★☆
●12月新刊●
足利学校で学問を修めものの、駿河国で軟禁状態となった四郎佐は、武田信虎と出会う。
信虎は軍師として取り立てるかわり、甲斐の国から追い出した晴信を討てと言う…。
それをきっかけに命がけで駿河を抜け出し、小太郎の助けを得て、足利学校へ戻り、山本勘助として武田家の軍配者へと歩みだした…。
◆『早雲の軍配者』の続編となります。前作は、ここで終わってしまうの?是非続きを!と願ったので、この続編は嬉しい限り。
足利学校で軍配者を目指した小太郎、四郎佐、冬之助。
早雲に見出され、順調に軍配者として成長した小太郎。
四十にしてようやく軍配者としてスタートを始めた四郎佐。
そして順当なスタートを切ったものの、現在不遇なことになっている冬之助。
彼ら一人ずつにスポットを当てつつ、しかし年代順になっていますから、全巻揃って出来上がる絵巻として楽しむべき作品だとも思うのでぜひ前作から読んでいただきたいものです。
今回は四郎佐を主人公に、山本勘助として武田家の軍配者へとなって行く姿が描かれます。
知らなかった足利学校の中が描かれて、そういった意味でも興味深かった前作に比べますと、ちょっとパワーダウンな感じもありますが、3人の軍配者を描くためにはここは重要なポイントでもありましょう。
小太郎、冬之助の友情と、3人の夢でもある戦場で相まみえ、戦う事…この夢があるからこそといった物語でもあるからです。
この後に続く『謙信の軍配者』への期待につながっています。
ともかく夏に出るという『謙信の軍配者』が楽しみですね。