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SPEED スピード (文春文庫)

価格: ¥610
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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時代とズレた古書 ★☆☆☆☆
名前は有名ですが、正直内容は大したことはないです。
90年代サブカルの遺物といったところでしょうか、そのくせ90年代の空気を感じることも出来ない、単なるドラッグのちょっとした解説と当時の「ドラッグやってる俺スゲェ」という鼻につく文章だけです、文章からは覚悟も心情も感じらず、格好をつけているだけで薄っぺらいです。
当時はそれでも話題になったんでしょうが、もう時代とズレた本です。
買うくらいなら、今ならネット検索でもしたほうがよほど面白くてリアルな話が今はいくらでも読めます。

シラフじゃ今の病んだ社会をやっていられない一部の若者の、今の時代のリアルなドラッグ事情なら、他の本をおすすめします。


イマイチ ★★☆☆☆
 評判ほど面白くなかった。何故だろうか?と考える。
 思うに、筆者はライターで話の種にドラッグに近づいているわけで、始めから地獄の一歩手前で引き返して、モノの本にしてやろうという野心が透けて見えるからだと思う。
 なにか、自傷行為で注目を引こうとするメンヘラ作家のようないかがわしさと同質なものがあり、本書にも登場する実際に引き返せない地獄に落ちた無名な人々との距離感が際立つのだ。
 それは淀みも破綻も無い文章に表れていると思う。著者はポップでクールでどうかすると実験的な文体ですらあると思っているかもしれないが、かつての退廃作家などと比べて実に退屈極まりない子供じみた饒舌に過ぎず、読んでいてルー大柴の馬鹿話に付合わされている様な軽い疲労感に襲われてしまう。もちろん、ご本人は芸術を気取るつもりも無かろうが、何らかの正常さ・日常に対する反発も緊張感も何も無いモノローグがだらだらと続く文体は、かつてのドラッグカルチャーとは一線を画するもので、著者の自意識の欠如を際立たせている。
 むしろそれこそが本書を人気作にし、現代的たらしめている要因といえるのかもしれない。
最低の本 ★★★★★
「リアル」な本。

それでも彼は言います。
「ドラッグってのは極めて個人的な"物語"であるということ。その物語を万人が受け入れられる様に書くことはできないし、本当の意味では自分以外の誰一人にだってその物語は伝わりはしない」

深いことは考えずに笑いながら読むのが正解なのかもしれません。
バカだねえ。
ぐるぐるぐるぐる ★★★★★
くるっていてくだらなくて野蛮。それでいて客観的でありナイーブさ繊細さが随所にみられ、リアル。あまりに面白くてあっという間に読み終えてしまった。

躍動する生々しい言葉。状況描写の臨場感の凄さ。石丸氏の文章はよどむことなくジャンキーのイカレた状態を清清しいまであけっぴろげに伝えてくれる。「文章を書き殴る才能があった」からドラッグで自滅せずにすんだというのは本当だと思う。読み物として圧倒的なエネルギーに溢れている。各章のレイアウトのデザインもすばらしく効果的。ぐるぐると活字が渦をまく頁にはやられた。

ドラッグとは肉体・DNAレベルの問題であって意志のはるかに及ばない領域のこととは至言だ。

自分の中に新しいスペースが生まれたのを感じた。本を読む歓びの体験。読んで良かった! 

不道徳極まりない、最低な俗悪本 ★★★★☆
著者が自身の薬漬けのイカれた日々を綴った本。
見知らぬ老人に飛び蹴りを当てて大笑いし、クラブに入ってきた場違いリーマンに大量の睡眠薬を飲ませ昏倒させて楽しみ、赤の他人を袋叩きにして気持ちよくなる。くだらない優越感や差別意識だって遠慮なく発揮しちゃう。

まさにこの著者はクズと呼ぶに相応しい。もちろん褒め言葉なんかじゃなく、そのまま貶し文句として。

しかし本当に貶されるべきなのは!
SPEEDなんて安易な名前のついたこの本が、最高に面白いことだろう。
読めすすめるうち脳みそが震えだし、あっという間に引き込まれてしまう。

ふざけた構成に、イカれた文体に、まるで飾らない話者の視線、そのどれもが完全無欠にさえ思えてくる。

ドラッグ体験本なんてのはそこら中に転がってるし、ネットのある今ならそんなやつらの発言には微塵の希少価値もない。

ところが、悲劇仕立てでもなければ、喜劇でも自慢でも反省でも小馬鹿でも小利口でもない、飛びぬけてリアルなドラッグとそれにまつわる生活の数年に渡る断片を、追体験し観察させてもらえる文章ってのは、今でもまず手に入らない。
これはもう、読んで楽しまなきゃ、ウソでしょう。
(※楽しむのは「読むこと」です。勘違いしないように・・・)

重ねて書くが、私は著者の生き方に一片の敬意も抱けない。
そしてこんな著者のファンになんて絶対ならないし、なりたくもない。
しかし、石丸元章がこのクオリティで書き続ける限り、私は買いつづけるつもりだ。
それとこれとは別なんだから仕方がない。