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淋しいアメリカ人 (文春文庫)

価格: ¥440
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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それはつまり、淋しい日本人を生む。 ★★★★★
淋しいアメリカ人というタイトルからして
アメリカ人を見下したり、哀れむような文章なのかと思っていた。
だが、著者は決して見下すことも哀れむこともなく
いたって客観的な視点であらゆる事実を淡々と語っており、
はじめは驚きこそあったものの最後のほうにはそれが気持ちよくすらあった。


ここで彼女が出会ったアメリカ人たちは観光として都市に
数日滞在したときに触れるような「優しく陽気なアメリカ人」とは違う。
もしかしたら、一見は同じなのかもしれない。
ただ彼らの奥底にある淋しさはたった数分接しただけの
外国人に見せるものでなく桐島洋子に対して見せた淋しさなのだ。
その意味で彼女の人と繋がる能力、心を開かせる能力には尊敬の念を抱いた。


アメリカで流行るものは必ず日本でも流行る。
アメリカを見たらそれを数年後の日本と思え。
と、いわれてきたがまさにこのときアメリカ人が抱えていた淋しささえ
いまの日本人には共通する部分が多いのではないかと思う。
早すぎた名作 ★★★★★
連綿と売れ続け30年以上もの間にわたり版を重ねた名作。
アメリカへ旅行をする人だけではなく、結婚や駐在などで長期滞在者として行く人は
読んでおいた方がよいと、昔もいまも変わらない評価を与えることが出来る希有な著作。
データこそ古くなれど、ここまでの高い評価を与えることが出来る本は
アメリカ関連では他にはあまりないように思える。

初版発売時から確実に時は過ぎ行き、アメリカと日本の立場も微妙に変わったが、
この本に書かれているアメリカは今でも確かに存在している。
そして、発売当時に多くの日本人が眉をひそめたであろう
アメリカの風俗は、確実に日本にも上陸した。
当時の常識からすると信じられなかった「出会いの掲示板」を載せた新聞は
「出会い系サイト」として今では未成年者にも普及し、
社会問題にもなっているのを筆頭に
「かかりつけの精神科医」の存在も今では何ら珍しい事ではない。

桐島洋子女史の著作は玉石混合なのも事実だけれども、
この本は誰にでも自信を持って御薦めしたい。
超一流のルポルタージュ ★★★★★
70年代のアメリカの中産階級の崩壊を描いた映画「アイス・ストーム」を観ていたら、桐島洋子さんの「淋しいアメリカ人」を突然思い出しました。この薄ら寒さはどこかで見た・聞いた世界だなと感じたのです。
内容は当時のアメリカ人の生活を生々しく描写した現地報告とでも言うべき作品で、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した当時は乱交パーティーに潜入などのスキャンダラスな部分ばかりが大きく取り上げられていたように記憶しています。
しかし、ここで描かれるのは一見豊かに見えるアメリカの家庭の「すきま風」、性の自由を謳歌しているように見えて、愛を求めてさすらう男女たちの様子がどこかアッケラカンとした語り口で語られています。
決してスキャンダラスな作品ではなく、当時のアメリカ人の抱えるダークな側面を適確にルポした著書だと思います。ここで描かれたのはウン十年前のアメリカ社会の一面ですが、今の日本社会にも通じる不気味さが感じられます。終始冷静な著者の絶妙な語り口には唸らされますが、それ以上に知性と教養と好奇心の旺盛さに魅了されます。
アメリカ人とは! ★★★★☆
アメリカについて興味のある人、アメリカ人について興味のある人なら、楽しめる一冊!今までのイメージを一変させられたり、共感を覚えたりで、何ヶ月か滞在したことある私でも知らないことが書かれていて、楽しかった。ベトナム戦争にも取材に行った作者の、鋭いアメリカ人観察。 何でも合理的にしようとするアメリカ人の、淋しい一面を見てみてください。