縄文文化から近代絵画までを一気通貫で論じる醍醐味!
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「日本その心とかたち」
加藤周一さんが解説者として出演している
日本の美術史をまとめたNHK教育テレビ番組
(1987年11月〜1988年3月オンエア)の書籍であり、
高畑勲・宮崎駿両監督のスタジオジブリにより、
「ジブリLibrary」として復刊された本です。
最後に、高畑勲監督と加藤周一氏の対談が収録されています。
縄文文化から近代絵画までを、
日本文化そこで表現しようとした心とその表現方法と結果であるかたちに
焦点をあてて、一気通貫で論じています。
芸術の歴史を一気通貫に見て、断じて面白いのは、
たとえば、
一万年続いた縄文時代において、土器が世界的にも独特のかたちを生み出したのは、
「伝統的技法」と「関心の枠組」を変えようとしたからではなく、
変えようとしなかったからである
・・・・と、目からウロコのようなコメントにはっとしたり、
一方、外来文化の到来によって、「技法」の革新や「関心」に広がりが生ずると、
技法の習得・習熟は進むが、そこは渡来先の二番煎じ・三番煎じになり、
独自性を回復するまでに長い年月を要すること・・・
実際、日本の場合、実に一千年を要したことが示されて、う〜む、と唸りました。
「新しいものを創出するには、
それまでにあったものに学びながら、
同時にそれを否定しなければならない。」
という言葉が、最後に示されますが、
そのために過去をきっちり押さえることの大切さを再認識します。
DVD・・ちょっと高いのが問題なのですが、
合わせて見るとさらに良いです。