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もの言えぬ証人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

価格: ¥987
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
Amazon.co.jpで確認
古い版を持っていたのに、新版を図書館で借りてきてしまいました。 ★★★★★
古い版を持っていたのに、この新版を、図書館で借りてきてしまいました。


旧版にくらべて380ページが520ページに増えているのは、
文字が大きくなったことと、
解説がなかったのが解説がついたことの両方が原因のようです。

解説は、結構辛辣で、類書にないタイプであるので必読だろう。

本文は、遺言状にまつわるどたばた。
ポアロものの一つとして必読だと思う。
奇想天外なトリック ★★★★☆
この事件はトリックが秀逸です。
おそらく犯行にあるものを使うとは
到底予想できないでしょう。


ただ唯一の難点なのは、この作品は
最初の犯行が非常に地味
(ただ重要なウェイトは占めてます!)なため
どうも盛り上がりに欠けてしまうのです。


事件の点では地味でしょう。
ただし、トリックや犯人の選定は
非常に優秀で、まさか!と思わせてくれることは
間違いないでしょう。


少しだけ惜しい作品です。
犬の使い方が面白くない。 ★★☆☆☆
“物言えぬ証人”すなわち犬のことですが、表題にするには出番が少なすぎじゃないでしょうか。

犬好きとしては、三毛猫ホームズ以上の活躍を期待したのですが。

アガサが最も愛した犬をモデルとした犬が、事件解決の重要な鍵を握る本格派ミステリ ★★★★★
アガサは、幼少の頃から犬が大好きな人で、自伝では、五歳の誕生日に初めて自分の犬を買ってもらったときの「信じられないような喜び」に、口をきくことも、当の犬を見ることもできず、一人トイレに引きこもり、感動の瞑想に浸る微笑ましい様子が描かれている。そんなアガサが、生涯のうちで最も愛した犬が、ワイヤヘアード・テリアの「ピーター」だといわれており、その「ピーター」をモデルにした「ボブ」が殺人未遂事件にかかわり、ポアロに、事件解決の重要なヒントまで与える役割を演じているのが、この「もの言えぬ証人」である。

小緑荘の独身の女主人が、親類縁者をさしおいて、全財産を家政婦に与えるという驚くべき遺言状を残して、病死する。病死する直前、女主人は、事故を装った殺人未遂事件の被害者となっており、命の危険を感じた女主人は、遺言状を書き換えるとともに、ポアロ宛てに、疑惑と恐怖を訴える手紙を残していたのだ。病死から二カ月以上も経ってからその手紙を受け取ったポアロは、女主人が死んだという意味の重大さに思いを巡らし、病死にもかかわらず、調査に乗り出す。

この本を読む前には、犬が事件解決の重要な鍵を握る作品ということで、ミステリとしての完成度という点ではイマイチかと、読むのに腰が引けた面もあったのだが、最後にポアロが解き明かすトリックは、堂々たる本格派ミステリのそれであり、見事に、アガサにしてやられた。

ちなみに、「ピーター」は、アガサが、「一匹の犬のほか、すがりつくものがないという絶望的な状況」と振り返る例の失踪事件の際、完全にひとりぼっちとなった彼女に、愛と慰めを与えてくれ、彼女の唯一の心の支えとなった犬であり、本書は、最大級の賛辞の言葉とともに、その「ピーター」に捧げられている。

やられた! ★★★★★
ポアロのもとに金持ちの老婦人から手紙が届く。内容は要領を得ないが、日付が2か月前のものである事が、ポアロの興味をそそる。果たして、ポアロが訪ねると、老婦人はすでに死んでいた。もちろんポアロは捜査を始めるが…。

老婦人が手紙を書くきっかけになった”犬のボール事件”が大変おもしろく、個人的にはとても気に入っている。ネタばらしになるので、これ以上書けないのが残念。
そして、クリスティーはミス・ディレクションが巧みで、ものの見事にだまされるのはしょっちゅうだが、本書は本当に「やられた!」と思った。脱帽である。