データと一緒に楽しい社会科
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ツアーコンダクターの経験もあり83カ国を歩いた経験のある著者が国連食糧農業機関のデータや財務省の貿易統計を引用しながら、その背景やときにはイメージとのギャップなどを経験談も交えて語る。
日本の食糧自給率の数字に対する疑問が執筆のきっかけになったという。
誰もが得た情報をどう捉えるか、この本にはとても大切なことが書かれていると感じた。
カロリーベースでの計算では低カロリーの野菜などは82%も自給しているのに数字的に貢献できないという矛盾が起こっていることを指摘。日本の農家が「自給率に貢献できていないのか」と悩むのは気の毒に思えてしまう。
宮崎県で発生し、深刻な事態となってしまった口蹄疫の問題も日本全体の問題として考えたいとこの本を読んで改めて思う。
「食」という視点から世界と日本を掘り下げる楽しい社会科テキストだ。