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豊臣秀吉 (中公新書 (784))

価格: ¥693
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論社
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秀吉の実像と虚構 太閤伝説の政治利用とは ★★★★☆
本書は秀吉出生から死亡とその後まで追っていますが
次の二点に焦点を当てています。

第一は、出生から27歳までの時期です。
良質な資料から存在を確認できる以前の時期の秀吉を考察しています。
歴史学における論理展開の方法を垣間見ることができ、
門外漢にはおもしろい部分です。

第二は、文禄・慶長の役から戦前です。
太閤伝説と時の政権との関係を、朝鮮出兵から、
江戸、明治、大正、昭和とページを割いて丹念に綴っています。
柳条湖事件の2ヵ月後に大阪城復元天守閣が完成したとは盲点でした。
きっと北海道における義経伝説も、
似たような経緯で広められたのではないでしょうか。

その他、歴史的にはっきりしている時期については、
筆者が秀吉史を要領よくまとめているため、
サクサク読み進めることができ、快適でした。
また引用している古文を飛ばし読みしても
その内容がわかるように要約されています。

ただし、文禄・慶長の役については、
当時の日本および世界での戦争例と比較せぬまま、
現代的視点から殺戮や暴行を蛮行と決め付けて、強調しすぎています。
耳きり・鼻きりの背景の説明が明快だけに惜しまれます。
また、羽柴秀勝出生に一項を割いたにもかかわらず、
秀頼出生にまつわる噂について一言も触れていないのは残念です。

問題点はあるものの、総じて、なかなかおもしろい本でした。
秀吉の実像と虚構のギャップ、伝説の政治利用に興味がある人には
薦められる一冊です。
入門書としては 最適 ★★★★★
この当時としては 比較的 早く 民俗学の成果を 入門書の中に入れて 一般に普及した功績は高く 買われるべきだし、これ以前の人なら あまり成されていない、秀吉への批判も入っているのは バランス感覚(ここではいい意味でとろう)のある著者らしいところ。

秀吉は歴史上の人物だが、文学上の素材でもあるので このへんはあえて区別するのはどうか ただ新成果も出てきたし、書き直してもいいのではないかと思うが そのへんはいかがだろうか?

非常に良質な「史書」 ★★★★★
秀吉に関する書籍は現在入手可能なものだけでも相当数に及ぶ。ただし、多くは「小説」である。本書の第一の特長は、世間に広く流布している「太閤伝説」のヴェールをはぎ、秀吉という人物の歴史的真実に迫った「歴史書」であるということ。その意味で記述にはほぼ納得がゆく良書である。第二はこのように多数の人々の手によって「伝説」化された秀吉像が、多くの日本人にとって魅力的であること、つまり「秀吉人気」の正体にきちんとアプローチしていることである。具体的には、秀吉の生涯のうち<1>およそ27歳ころまで確実な史料が全くない秀吉の出自の問題、<2>朝鮮侵略の問題に十分なページを割いた上で、「太閤人気」の正体を一般民衆の目と、それとは全く対照的な為政者の目の双方からかなりきちんと検証している。新書という形態の制約の中で、「実像」と「虚像の正体」を描くという著者の意図は、愚見によればまず成功している。勿論、史料批判などは最小限に収められていて読んでいて必ずしも素直に受け取れない部分もないではないが、とりわけ「新書」が安易に大量の新刊を出すことに追われて質的低下がきになる昨今。少々甘いが、☆は多くした。秀吉に限らず、規模が大きく学問的にきちんとした「評伝」が全くといっていいほどない日本の現状には(勿論、「歴史」と「文学」がそう簡単に切り離せぬという大問題があることは承知しているつもりだが)当分大きな変化は望めそうにないという残念な事実が根底にあるのであるが・・・