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潤一 (新潮文庫)

価格: ¥420
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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潤一は主人公ではなく鏡なのだ ★★★★★
 ついに井上荒野が直木賞をとりました。
 そして、すでにあちこちで散見されていますが、男性には彼女の小説が全然わからない、とても苦手な方が多いようです。
 特に受賞作『切羽へ』は嫌われていますね。なんにも起こらないじゃないか、と。

 さてしかし。
 井上荒野の小説が苦手な方って、恋愛小説が苦手なんじゃなくて、女が男そっちのけで自分のことばかり考えている状況が苦手なのじゃないかと思うのですよ。
 彼女の書く小説は、一般的な恋愛小説ではなくて、女が恋愛を通して自分の生き方を考える小説です。ヒロインの相手役は常に、くだらなかったり、みがってだったり、よくわからない性格だったり。そうした男を好きになる状況や、心理を、ヒロインはじっと見つめて考える。どうしてだろう、と。
 つまり、自分について考えているわけで、けっして相手の男は見ていない。
 それが男性読者を不愉快にさせるんじゃないかと思うわけです。

 そういった特徴が最も現れている作品が、この『潤一』です。
 さて君は、この気持ちがわかるかな?
読み易いだけのフツーの恋愛小説 ★★★☆☆
フツーの恋愛小説。
ませた女子中学生でも書けるような知的レベルの低さ。
純文学としてもエンタメとしてもセールスポイントが見つからない。
ライノベというか、少女漫画以下の作品。
これよりは、山下和美の「不思議な少年」や、
惣領冬実の「Es」の方がレベルが高い。
井上荒野は井上靖の娘だという情報もあるが、
ガセネタだったようでw
伊月潤一という生まれながらのスケコマシが
14歳から62歳の女性と関係する話だが、
セクースするのは20代から40代のみで、
いたってフツー。
62歳の婆様ともセクースしたら文学的な傑作になったろうに、
何も考えずに適当に書いたとしか思えない平凡作である。
桜庭一樹の『荒野』よりは井上荒野の方が価値があるかもしれないが、
井上荒野の『潤一』より伊藤潤一の方が価値があるよなw

物語の擬似性さえも疑わせる気ままな主人公 ★★★☆☆
潤一という26才の青年が主人公の、女性関係観察抒情詩的な短編集。
いろいろな年齢層・立場の女性と「関わり」を持っていく話なのですが、
各話で、何らかの形で纏わりついてくる嫌悪感と、「あるよな、そういう
感情って」というシンクロ感の割合が、前者が大きく勝つものと、後者が
大きく勝つものに分かれています。
それを最後の一編が中和させる構成になっていますので、短編集としての
纏まりを最後に紐閉じした感じの本かな、と感じます。
好き嫌いが分かれると思いますが、紅茶でも飲みながら、サラッと1編
ずつ読んでいく感じが似合う本かと思います。
構成、人物造形、素晴らしい文章力 ★★★★★
伊月潤一、26歳。定職にも就かず、定住することもなく、ただただ何かに流されて行くかのように生きている「自由人」。
女性を引っかけSEXをし、一時点をその女性と「時」を共有するものの、いつの間にか居なくなってしまう。
憎らしいけれど、憎めない存在です。

そんな彼が、14歳から62歳の女性9人と出会います。
それぞれの女性に共通するのは、彼と出会う時、それぞれが人生のエア・ポケットに落ちているような状況であることです。
だから、そこでの彼との一期一会は、彼女らの「心」に残って行きます。

作者は、この9人の女性の目から見た「潤一」を9編の短編に収めます。そして、10編目には、「潤一」の自己分析とも言える短編を持ってきます。
この構成の上手さ、「潤一」を初めとする人物造形の見事さが、読者を捉えます。
現実の物語から離れた「夢物語」のような作品です。
何だか哀しい ★★★★☆
私も「ニシニユキヒコの恋と冒険」に似ている…と思いました。
けれど、最後に『潤一』自身の章を持ってきたところがこの物語の巧いところだと感じました。結末を読者に委ねない、というか。そういう描き方が嫌いな人もいらっしゃるでしょうが…

一見すると「女にだらしない男」とそういう男に「まんまと引っかかってしまう女たち」の話なんですが、そうした男と女両方を憎めなくなってしまうような力がこの小説にはあります。潤一と女たちの間にはそれぞれ「避けがたく引かれ合ってしまった感」があり、それが何だか哀しい…

「あの角まで行けるか」「その先まで行けるか」そんなことを言いながら、潤一はどこまで行くんだろう…そんなことを考えると、やっぱり哀しい。