一見すると「女にだらしない男」とそういう男に「まんまと引っかかってしまう女たち」の話なんですが、そうした男と女両方を憎めなくなってしまうような力がこの小説にはあります。潤一と女たちの間にはそれぞれ「避けがたく引かれ合ってしまった感」があり、それが何だか哀しい…
「あの角まで行けるか」「その先まで行けるか」そんなことを言いながら、潤一はどこまで行くんだろう…そんなことを考えると、やっぱり哀しい。