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春のオルガン (新潮文庫)

価格: ¥420
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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子供の心象風景が丁寧に描かれた作品 ★★★★☆
子供にとっては、自分の家庭や学校が、自分の世界にとってとても大きな部分を占めている。
したがって、両親が不仲であるとか、学校の担任が嫌いであるとか、家庭や学校での立場が不安定だと、自分の気持ちも不安定になり、更に進むと、生きる意欲すらなくなるということが起こり得る。

本書の主人公であるトモミもそのような危機にあったが、そこへ、普段とは違う祖父に出会い、捨て猫たちに毎日ごはんを食べさせているおばさんに出会い、自分の今まで知らない世界があることに気づいた。
そして、自分の家庭や学校のことを、少しずつ客観化できるようになり、精神的に、落ち着きを取り戻していった。

本書は、子供の不安な気持ち、自分の知らない他者との出会いにより子供の気持ちに変化の生じる様が、とても丁寧に、リアルに、描かれている。
そして、子供が、精神的な危機を乗り越えられるかどうかは、まさしく、周りの大人次第なのだと言うことに気づく。

本書を読み終えて、自分は、子供達の目から見てどのように見えているのか、思い返した。
本書はもともと児童向けだったが、大人にこそ本書を薦めたい。
「夏の庭」とは違うけれど ★★★★☆
淡々と進むお話ですが、この年頃特有のもやもや感が全体に漂い、とても
リアルです。

主人公トモミにとって、この今年の春に、何一つ無駄なものなどなかったのだと
思いました。
弟テツくんの、野良猫に対する努力も、おじいちゃんのガラクタたちも、あふれだした
憎しみも、悲しみも、もやもやも。
全部受けめて行こうとするラストシーンのトモミの成長が、とても清々しかったです!
新潮文庫の100冊に選ばれていたので ★★★★★
新潮文庫の100冊に選ばれていたので、初めて手に取った3冊のうちの1つです。
子供の頃の思い出と重ね合わせながら読むことが出来ました。
ひとつひとつの事がらが、大人になっていく過程でどのような役割を果たしているかはわかりません。
死のタブーを丁寧に描いた作品。 ★★★★★
 春のオルガンは、中学生直前の少女の物語で、彼女はある出来事からの罪悪感から悪夢に悩まされています。その出来事、なのだけれど、わたしにもわかる部分がありました。死のタブーさといったらすざましく、その前ではひどく善人になることを求められるような雰囲気がどうしてもあるものです。本当は、それぞれの感じ方や受け止め方や時間の流れがあってよいものなのに、なんとなく許してもらえないような恐ろしい壁。ぱっと見、スムーズに望ましい過程を見せ付ける人への複雑な思いと引け目。この物語はそういうところが丁寧に描かれていて、わたしはとても好きな本でした。夏の庭よりは、純文学の香りは少ないので読みやすいと思います。
春のオルガン ★★★★★
小学校を卒業し、中学校に入学するまでの「春休み」。12歳のトモミと弟のテツが過ごした日々の物語です。

自分がこのくらいの歳だったころ、世界はこんな風に見えていたかもしれない、自分をこんな風に思っていたかもしれない、そういうことを思い出させてくれる物語でした。バラバラになりかけた家族、中学受験に失敗した自分、近所とのモメゴト…12歳は子供かもしれないけど、でも12歳なりにいろんなことを考えて、感じて、悩んで生きてるんだということ。あの心の痛み。描写は決して明るくありません。途中で心が苦しくなって、読むのがしんどくなってしまうようなところもありました。それでもこの先に光は絶対にあるんだというのを感じさせてくれる、そういう雰囲気の物語でした。読み終わって、とてもステキなものを読んだという気持ちになりました。

ジブリの「トトロ」に出てくるみたいな、兄弟がまだ子供同士で、ずっといっしょにいる、あの一瞬のきらきらした時間。そんなきらきらがいっぱいつまっています。

「夏の庭」「ポプラの秋」と並んで、大好きな本がまた一つふえました。