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英語の歴史―過去から未来への物語 (中公新書)

価格: ¥842
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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「へ〜」を連発した ★★★★☆
良書。語彙、発音、文法、綴りなど扱う内容は多岐にわたるが、さりげなくも、非常にツボをついた話題選択がなされており、何度「へ〜」と思ったか知れない(ちなみに私は、過去に類書――たしか『英語を学ぶ人のための英語史』という本だったと思うのだが――を読んで英語の歴史的な経緯をおおまかに覚えていただけの素人)。「主張」や「思い」をこめた本も世の中に多く存在するが、本書のように事実を丹念に追う本もやはりいいなあ、知らないことを知るのはやはりいいことだなあと素朴に思い返したりもした。私が面白く思ったことの一部を紹介。

●9世紀にデーン人侵入に苦慮したアルフレッド大王がデーン人と条約を結んで、デーン人が自分たちの法律で統治できる地域を指定。Derby,Rugby,Whitbyなど-by(北欧語で「町」の意味)がつく地名が今も600以上あるのはその名残。またAndersonとかJohnsonなどといった-sonという名前も北欧起源で、「〜の息子」の意味(父称)。
●助動詞doを使った疑問文や否定文は、(語形変化消失の代償として固まった)「SVO」の語順保持の傾向と相まって発達(have you 〜?ではなくdo you have 〜?にすればSVOの順は失われない)。
●ジュリエットがロミオを呼ぶときの二人称は最初you(当時は敬称)の系列を使っていたが、途中から親しい呼び方thouの系列で呼ぶように変わったこと。
●mayやcanが、「可能」から「許可」をへて「軽い義務」をあらわすようにもなっていること。
●大母音推移のこと。

こまごまとしたことを含めて面白かった点を全部書くとたぶんこの20倍ぐらいになると思う。以上これから読む一助になれば幸いです。
書き出しからしていい。 ★★★★★
書き出しからしていい。 H.G.ウエルズの近未来小説が、80年前に既に、現在の国際語としての英語の地位ばかりか、その英語を介して ” Wikipedia ” の誕生までを予言していたという、ショッキング、且つ正鵠を得た話に、のっけから惹きこまれる。

東京大学において准教授として英語史・中世英語を研究している氏ならではの、英語史に関する知識・見識が200頁の新書版に濃密に織り込まれている。

ユーラシア大陸の極東と極西。
日本語と朝鮮語・中国語との関係に相似したイメージを、英語と周辺ヨーロッパ言語との関係にも抱いていた。
だが本書に触れてからは、日本語の場合とずいぶん違うな、と思うようになった。 民族・政治・宗教、何れの側面においても、日本語の場合とは比較すべくもないダイナミックなものに巻き込まれ、翻弄され続けてきたのが英語なんだと・・・

一方では、ひょっとしたら20世紀初頭の「日韓併合」も、朝鮮半島の人々にとっては、ブリテン島の人々のそれと同じようなものだったのかもしれない、なぞと考え始めている。
Changing English ★★★★★
 『英語の歴史』なんてタイトルからは、とても堅苦しい英語史の教科書を想像するかも知れない。が、本書の帯には"Changing English 〜 The Stories from the Past to the Future"と英題が付されていて、むしろこちらの方が本書の内容を的確に表している。

 約200ページの本文のうち、純粋に英語史に属する内容は19〜134頁にわたる全体の半分強ほど。残りは現代英語の多様性や今後予想される変化などを幅広く取り上げている。専門家以外の読者にはむしろこちらの方が興味深いと思われる。本文の途中に"column"という囲み記事が時々挿入されていて、そちらの方も様々な英語に関するトリビアが紹介されていて興味深い。又、図版が多いことも良い点。

 本書を最もお薦めできるのは、授業中のネタ仕入用として英語教師の方々に。中学英語以上の基礎知識はほとんど不要なので、英語に関心のある高校生、大学生、社会人にもお薦めです。
素人意見ですが. ★★★☆☆
当方英語好きの素人ですので,その観点からの評価です.
全体として素人にも面白いと思える内容が含まれており,
一般向けの新書としてそれなりに有用だと思います.
ただ,特に前半部分には,単に著者の知識整理やひけらかし
としか思えないような記述も目立つような気がします.
これらは,恐らく専門家なら読まなくても知っているが,
素人は読んでも良く理解できないといった,
中途半端な記述になっているのではないでしょうか.
英語の複雑で数奇な歴史をわかりやすく説く ★★★★☆
古英語、中世英語、そして近代、現代と大幅な変化をしてきた英語。
その歴史をコンパクトに、わかりやすくまとめている。

もっとも、このテーマは類書が多い。
それらと比べたとき、本書はよくまとまってはいるが、「読み物」として面白いかというと、正直ちょっと疑問符が付いてしまう。

特に、現代の英語の変化については、単に単語が羅列されているという印象があって読み物として面白いとは言えない。
著者はこの部分こそが他の類書との違いでもあると言っており、事実そうであるだけに、ちょっと残念だ。

ともあれ、英語の歴史がわかれば、その文法の仕組みや発音と綴りのずれなど、様々なことがわかってくる。
類書を読んだことのない人なら必読だと思います。