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カオス―新しい科学をつくる (新潮文庫)

価格: ¥900
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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非線形という非決定論の中の秩序 ★★★☆☆
(シンプルな)部分の集合として(複雑な)全体を理解しようとする要素還元的考え方が「従来の科学」の根底にあります。部分を統括する「法則」という鍵さえ手に入れれば、自然の謎はおのずと解ける・・・カオスはこのような世界観を壊しました。カオスは、単純なルールが無限のパターン(無秩序)を生み出し、しかしそれが統一感(秩序)を形成する事象であり、要素還元しても、そこにあるのは空洞にすぎません。ご神体を覗いてみたら、なにもなかった、という異様な中空感覚。
本文p424のクラッチフィールドの言葉が、カオスの意義をいちばんあらわしているように見えますので、引用します。
「とにかく現在通用している枠組には、どうしても当てはまらない、物理的経験の広い領域があるんだという発見ですよ。いったいなぜ僕らの教わったことの中にそれが入っていないのか?ここで僕らは自分の住んでいる世界を、改めて見直す機会を与えられたわけです。ありふれすぎていて、しかもすばらしいこの世界を見て、何かを理解するという機会をね」
第三の目 ★★★★☆
 
 数学が死ぬ程苦手な僕にはコレを読んで人に説明することは難しい。
が、沢山の発見がある本。僕は、この本を読むまで
海岸線を正確に測る方法がないなどと考えもしなかった。

フラクタルとよばれる構造が自然の各所に散見され、それどころか、
それがもしかしたら「世界」の基本構造を理解するヒントになっているということも
驚き、興味深かった。

 「全ての科学は突き詰めると哲学になる」という。
各分野の科学者が70年代に一斉に「カオス」と総称される理論に近づいたことは示唆的で
実に面白い。そしてカオスは実に哲学や禅の思想に通じるところが有る。

 語りすぎてニューエイジ系というゴミ箱に放り込まれたくはないが、
つい誇大妄想を語りたくなるような知的好奇心を刺激するのにとてもいい本書。
「ジュラシックパーク」(カオス理論が出てきます)の次がコレでした。
そして複雑系への旅が始まったのでございます。

 世界の新しい見方、「第三の目」が開くかも!(ニューエイジ的でなく)
カオスって混沌かなあ? ★★★★☆
「相対論」「量子論」につづく今世紀最大の発見、と背表紙に書いてありますが、そうだったんですね。これはむずかしい本です。完全にわかるには数学的予備知識が必要でしょう。しかし、数学的知識のない私ですらカオス理論の概念が「そういうもんかあ」とまでは理解でき、とてもおもしろく読めました(理解不能でとばしちゃったところもありますが)例えば、構造物の強度計算でも、方程式はありますし、実際の設計でもヤング率やら引っぱり強度やら計算しますが、最後は「安全率」をかけて、現実の設計値とします。計算値ちょうどで構造物をつくりません。なぜかというと、計算通りには強度が確保できないからです。もっとも身近な住宅であっても、柱や土台や梁にかかる力それぞれの部分で正確に計算できるかどうかというと、それはできません。カオス理論はコンピュータシュミレーションの考えに近い考えで、膨大な反復計算ができるという環境があってこそなりたちます。住宅の強度でいうと、人がここを踏んだ場合、まず、床板に力がかかって、柱につたわって、土台を押し込める力になって、という具合に想像はしますが、柱が弱くてつぶれるか、それとも倒れるか、さらにそれともねじ曲がっておれるのか?計算できませんが、カオス的シュミレーションなら解析できる可能性があります。(簡単に説明しようと努力してますが、なかなか難しいですね)
予備知識がなくてもなんとなくわかる、かもしれません。わかると感動しますので、トライしてみてはいかがでしょうか?
カオスは、ホワイトノイズではなかったのですね ★★★★★
 第3章でロバートメイの「分岐図」を見たときに、自分の過去20年の不明に気がつきました。カオス、フラクタル・・・といった話題に1980年代には触れる機会があったのに、その学問領域の意味を誤解していました。カオスは、ホワイトノイズではなかったのですね。急増と崩壊を繰り返す野生動物の個体数の変化をシミュレートするのに、単純なロジスティック方程式を使って計算しただけで、カオスの地図が見えてくるのです。ロバートメイの学問境界を越えて行き来する頭脳が描き出したものです。しかも、今から見たらおもちゃのような初期の電子計算機を使って。
 読まなければいけなかった本を20年遅れで読み進める罪悪感を吹き飛ばしてくれるような話題が、次々と各章で展開されます。20年眠っていた脳が動き出すのが感じられます。
 非線形、フラクタル、ストレンジアトラクタ、マンデルブロ集合、・・・とどの話題も私にとっては目の覚める知識でした。次々と登場する理論物理学者、気象学者、生態学者、数学者・・・といった天才、奇才が織り成す学問の発展状況自体がカオスをなしているように思えます。
 複雑系、ネットワークの理論、といったことを考えるベースとしても、カオスは勉強しておかないといけなかったものでした。反省と、死ぬ前に気がついた幸運を感じつつ。
新しい科学の世界をのぞいてみよう! ★★★★★
人は一生のうち、何冊の「人生を左右する本」にめぐり合えるのだろう。私は10年以上前にこの本を読んだが、これは間違いなく私の人生、ものの考え方を変えた。
それまで私は「決定論」という言葉など知らなかったにも関わらず、必要な全ての情報を持っていれば将来は予測できる(それこそが決定論的な考えなのだが)という考えを根拠なく漠然と持っていたように思う。だがこの本を読んで、そもそも原理的に将来を予測するのが不可能なケースが存在するということを知った。しかもその挙動は「非周期的な周期性」を持ったストレンジアトラクターとして図示できるという!
この本を読んでからしばらくはカオス理論や周辺の考え方をもっと知りたくて、プリコジンの「混沌からの秩序」に手を出してみたり、株価の変動についてカオス理論やフラクタル理論が応用できないかパソコンで試してみたりもした。
結局めぼしい成果は得られなかったけれど、それでもこの本は私にとって宝物のようなものだ。「新しい科学をつくる」というサブタイトルに魅かれて何気なく手に取った本からあのような感動をもらったのは非常に幸運だったと思う。