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神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く (新潮文庫)

価格: ¥620
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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”生きる”に基準はない。 ★★★★★
本書に書かれてある、東南アジアから中東にいたるイスラム世界に存在するショッキングな事実に、強く震撼させられた。
興味本位で読む本ではなく、こういった生々しく惨たらしく写る非情・非道な社会事情に対して、思わず憤怒の相を帯びてしまいます。
とはいっても、そういった惨たらしい事象に対して、何ら手を差し伸べることができない、何ら変化を及ぼすことのできないことにこころの葛藤、ジレンマに陥ってしまいます。
読み続けるごとに、ひとにとって”幸福”とは何か、”宿命”とは何か、そして”いのち”とは何かを問い質してしまいます。
ただ、”生きる基準”や”生活の基準”という基準は、読者の現状の姿と比較するから発生するものであり、本来は存在しないものだろうと思います。
それぞれの人生であり、それぞれの生き方であると思います。
生まれ出たころからその足跡までが、明日に向かって進んでいく時に、自らの意識を高揚し、生きる術を知っていたなら救いなのかもしれません。
今まで裏側でベールに包まれ、日の目を見ることがなかった世界を本書を通じて知ることができ、深く考えさせられたことはまちがいありません。
知ることが大事 ★★★★★
読んだのはだいぶ前だがやっと感想を書いた。

面白かった、というのは非常に不謹慎だが、興味深かった。
サクサク読めるし、ページの向こう側の彼らがとても魅力的に見えた。
そして同時に人間をやめたくなるくらいの不快感、どうにかならないのか…という答えのないもやもやした感情。
こんな世界が今現在もあるとは思えない、日本での当たり前暮らし。比べたらどんなことでも幸せに違いないけれども、そこを比べるのもちょっとズレているのでおいておく。
ただどうにかしなければならない問題だ。
でもこれは短い時間ではけして無理で、1つや2つの国が頑張っても無理で、
人間が、生き物が子孫繁栄のためにけして逃れれない性欲が根本にあるため、根強く深く浸透しすぎてどうしたらいいのかわからない。

彼らはただ生きているだけ。
生まれてきた身体と精神を切りつけながら生きるしかないのがとても悲しい。
1日何人もの性的な相手を安いお金と不衛生の中でするしかない女の子。
本当なら親から愛されて友達もできて、好きな勉強をして将来を夢見るのにそれが普通じゃない世界。
どれだけの苦痛なのか想像もできない。

子供なのに身体を売らないと生きていけない世界。
兄は弟にそんなことさせたくないと身体を売り、弟には遊ばせる。
弟も兄には苦労かけたくないと、見知らぬ男についていく。
こういうとにかく性欲を満たしたい男(男ばかりじゃないが)がいるからこんな世界になるんじゃと怒りを覚えるけど…
そうして簡単に人間を買って満たされるのがまったく理解できない。

本の中で紹介される人たちは、とても魅力的で強く見える。
ときどき、あちらではこれは普通なのだからある程度間隔がマヒしているのではという酷い錯覚を覚えるけど、わずかな温もりにすがったり、当たり前の兄弟愛があったり、女の子らしい一面があったり、いちずな恋をみせたり、やはり同じ人間で、まったく自分たちと変わらないことに気づく。
なにこの生活の差はなんだろう…

こんな衝撃的で重い世界をのぞくには相当の年月をかけたのかと思ったけど、思ったより短い期間でいろいろな地域を回っているので、1つ1つはそんなに長くないのかなと思った。
それで底のほうまで見えるんだろうか?
でもこの現実を日本にちゃんと伝えたい、という気持ちは感じられた。
それにこういう人がやはり必要なんだと思う。年齢もすごく近いのに…これも信じられない現実。

アジア地域の貧困の本はいくつか読んでいるけど、改めて1人でも1秒でもなにか安らぎを感じる瞬間がありますように、と願う。
願っても結局なにもできない私ですが…
底辺の人々に寄り添うようにして生み出された作品 ★★★☆☆
色んな国々に生きる最底辺の人々の「性」に焦点を充てた作品。そして、それを生きる手段としている人々が、その現実をどう受け止め、受け入れているかを描き出した作品です。
「世界にはこんな不幸な人や悲惨な現実がある」と、当事者ではない立場から一方的に書かれている作品は多いと思います。しかし、これは、そんな生活を強いられている人々の目線に立ち、寄り添うようにして描かれた作品です。
ただ、多くの国の多くの人々の話を書きすぎたために、一つ一つのストーリーがさらりとし過ぎていて物足りなさを感じてしまう点が少し残念に思います。
また、取材対象者との距離が近すぎるために、著者自身が深く関わり過ぎ、その人たちの一生を引き受けられるわけでもないのに、中途半端に手を差し伸べ、さらに最終的にその場を去ることで、その人たちを裏切ってしまっている現実もあることに、さらなる残念さも感じます。
ただ、かわいそうや悲惨といった一方的な見方ではない、当事者たちの現実が描き出されているという点において評価できる秀作です。

この作品をより深く理解するための手助けとして、石井光太氏はHP上で写真と本書には書ききれなかったメモなどを紹介しています。本書と共に参考にしていただければ幸いです。
石井光太公式HP http://www.kotaism.com

衝撃的だが希望の書 ★★★★★
書いてある内容は目を覆いたくたくなる内容だが、
そこかしこに希望を感じるのは私だけではないだろう。
人権という価値観が最上のものなのかはその人の文化や立ち位置によって違うが
ここに描かれている人達は「西欧文明」が産んだ「人権」はなく、
我々からみたら、悲惨な境遇である。
しかし、それでも日常は淡々と無常に過ぎていくのであるが、何かにすがろうとしたり、隣人の温かい眼差しが厳然としてあるのがこの本から読み取れる。
ショッキングな内容なのだが、それと共に温かい内容でもある。
是非、皆さんも読んで頂いて、最後に著者も記している通り、何かを考えてほしいと私も思った。
知識の隙間を埋めてくれる効果は大きい ★★★★☆
イスラム国家とイスラム教国とは異なるようであるが、イスラム教が支配的な国の男と女はどういう状況なのか新聞や普通の雑誌を見ている限りではほとんど読み取れない。

この本はそうした間隙を埋めてくれる。一部、創作がはいってると思われるが、これに近い実態はあるのだろう。
著者は「イスラムの国で男と女はどのように裸体を絡ませ合っているのだろう。そうした疑問を解き明かすため旅をしようと思う」(一部省略あり)と冒頭の部分で書いている。

本編もこの筋書きどおり進む。インドネシア、パキスタン、ヨルダン、レバノン、マレーシア、バングラデシュ、イラン、ミャンマー、アフガニスタン、インドが登場する。文章はうまいし、登場する人物(主に女性)の生き方にもひきつけられるのであっというまに読めてしまう。
私は、自身が病気になって身体障害者とな… ★★★★★
私は、自身が病気になって身体障害者となり、今となっては、海外へ行くことも出来ません。子育てがひと段落したら、色々な国へ行くことが夢でしたが、石井さんの本を読み、世界がよくわかって、大変勉強になります。