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逆説の日本史〈10〉戦国覇王編 (小学館文庫)

価格: ¥710
カテゴリ: 文庫
ブランド: 小学館
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読み物としては面白い ★★★☆☆
歴史に詳しくないので、どこまで本当か分からないのですが、それでもいい加減だなと思うところが幾つか。
自信のあるところは、わざわざ反対派の意見を出し、それを様々な角度から否定するが、逆に自信のないところは、さらりと流す。酷いのになると、論拠一つ示さず「この様な事態にきっと○○と言っただろう」と、勝手に歴史上の人物の代弁をします。
筆のノリとページの割き方を見ると、どこが弱いかよく分かります。

ただ、読み物としては、中々面白いので、☆3つで。
400年前の奇跡 ★★★★☆
現在の日本人の我々が、宗教戦争の中にいない幸せは、信長によってもたらせた。
信長の事業は、20年ほどで天下をほぼ治めることも可能にした。
その生涯は、特筆するものである。それを追うことは、非常におもしろいことである。
「天下人になろう」という意志が、その始まりだからである。
日本史に燦然と輝く英雄 ★★★★★
シリーズ10巻目の本書は、そのほとんどを信長の生涯に充てています。
戦国時代と言えば、信長が筆頭に来るわけですが、そんな彼の生涯についても、多くの誤解があった事が本書で明らかとなります。
比叡山の焼き討ちや、一向一揆虐殺、ドクロ杯と、「記録に残っている事実だけをつなぎ合わせれば」彼は残忍で、人間として欠陥があると言う評価になるのでしょう。
私も、同様の印象を信長に持っていましたし、「泣かぬなら殺してしまえホトトギス」などと言う句もそう言った共通認識を元に作られたのだろうと感じていました。

それを著者は、誤解である事をひとつひとつ、事実を丹念に拾い出し、当時の状況及び常識を理解したうえで、「どういう判断が最も合理的なのか」と言う視点で理解しようとしています。ここに、私情が入らないところが著者の優れたところで、だからこそこのシリーズには多くのファンがいるのでしょう。
信長の実像に多角的な方向から深く洞察する秀作 ★★★★★
井沢氏は持論として「歴史学は総合科学であり、さまざまな分野を跨いだ総合的な分析が必要」と述べられる。
氏は歴史が人間の営みである以上、資料分析のみならず、たとえば心理学、社会学、宗教的な観点からの多角的照射がその研究には不可欠である、旨主張される。

要は、そのような多角照射的な検証から導き出される事実を、“常識”に従って自分の頭で推察すべきということだろうと思う。
本書でもその姿勢は見事に貫かれており、氏の姿勢には深く感銘を覚える。
また、小生のような一般人にも極めて解りやすく知的好奇心をかき立ててくれる井沢氏の語り口も相変わらず見事である。

言われて今れば当然のことのようながら、今まで全く考えも及ばなかったことである。また、言うは易しとはこのことで小生のような“教えられてきたことに”束縛されているだけの凡人には難しい。

信長を題材とした本書でも、筆者の持論に基づく検討と、従来、信長の常識とされてきた多くの“常識”への慎重かつ大胆な問題提起には舌を巻かれる。

たとえば、
1570年9月に勃発した石山本願寺との開戦。信長が大阪の本拠地を破却するという当主顕如への恫喝がこれを招いたという考え方が多くの小説などでも主張されるところと思う。
小生もこの考え方を信長の旧勢力への徹底した対決姿勢という構図と共に、なんとなく“さもありなん。信長は本願寺をひねりつぶすつもりだったんだろーなー”と軽く、しかし深く信じていた。

しかし、
それは当時の本願寺の実力から甚だしく乖離したものではないか、という疑問が、本書を通じて湧き上がった。
井沢氏の説明するところ、当時無双の堅城といえば小田原ではなく「石山本願寺」であり、信玄や謙信に比肩するかあるいはそれ以上、「大名数個分のパワー」を有する巨大勢力。
「お坊さんは丸腰」という現代の「常識」は通用しない。

この問題について、本書は、果たしてそんな巨大勢力に対し、「宣戦布告」するような無謀な行為に天才信長が出るであろうか、という常識的疑問から発し、戦闘の発端・経緯に深い検討を加える。

気鋭の本願寺研究者、神田千里氏の研究成果なども引用しつつ当時の「実情」を考察しつつ、単純な善悪二元論を排除した客観的で深い研究をぶちかましている内容には、感服する。

千年に一度の天才、信長と彼が生きた時代について、諸兄に必ずや新しい視点と、更なる好奇心をかき立ててくれる書と信ずる。

お勧めです。
「神」になろうとした男 ★★★★★
「逆説シリーズ」第十作。本シリーズとしては珍しく、信長一人に一冊を割いている。著者の力の入れ方が分かる。

信長の天下統一の過程は人口に膾炙しているので、流石にエピソードに目新しいものは少ない。ただ、他の戦国大名があくまで足利幕府の幕臣であろうとしたのに対し、信長一人が天下統一のビジョンを持っていたのは天才と言う他はない。著者が塩野氏の弁を引用して「現在の日本に宗教戦争がないのは、信長が400年前に追い払ったからだ」と述べているのは卓見。私は藤沢周平氏のファンなのだが、信長の宗教政策に関する限り、塩野氏の洞察力に軍配を上げたい。そして、信長が新しい日本の「神」になろうとしていたという論にも賛成である。信長流の合理的発想で、将軍・天皇を越えた存在になるためには、こうする他はないからである。一見、破天荒のアイデアだが合理性を貫くと行き着く先はココしかない。本書中に出て来る安土城のCG画像を私もTVで観た事があるが、信長の絶対神思想が痛い程伝わって来た。「鉄甲船」の逸話は初耳だが改めて信長の天才を感じる。また、秀吉に先立つ信長の「東アジア経営構想」論にも驚いた。「本能寺の変」は武将としての光秀の"本能"的行動と考えるのが自然であろう。

著者の贔屓の信長に捧げた、シリーズ中でも最も熱気溢れる作品。過熱気味の宗教論を含め、著者の気魄が全編から伝わって来る渾身の一作。