この「逆説の日本史」シリーズは愛読しているが、面白い反面、さすがに5巻くらいになってくると、飽きてくる。著者の強い主張に「お腹いっぱい」になってくる。
私は最初のうちは新鮮みを感じて「その通りだ」とうなずきながら読み進めた。しかし、だんだん「また、これか」と思い始めてくる。
“一般の学者が見落としているのは言霊思想であり、日本史における宗教的要素である”“こういう言い方をすると、マルクス主義史観に懲りかたまった学者は……”“右の学者は……”と、とにかく他をなで切りにするのである。
著者は、このシリーズの中で繰り返し「日本の思想は和にあり」と強調しているだけに、自分のように、どうしても「和」を重んじたくなる人間には「またか」と思ってしまう。
全シリーズのうち2冊くらいをピックアップして読むか、あるいは、2冊くらい読んだら、何年か時間を空けて読むとか。そうでもしないと読むのに疲れてしまうと感じる人もいるでしょう。
この巻では今、大河ドラマで注目されている源義経の歴史的な存在意義。なぜ義経は頼朝に滅ぼされたのか。なぜ、あれほどの戦争の天才が亡んだのか。こういったところが面白かった。そのあたりの著者の見方は、今の社会で我々が生き抜くに当たっても、必要な視点を与えてくれると思う。