インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

高橋是清自伝 (下巻) (中公文庫)

価格: ¥700
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
Amazon.co.jpで確認
再就職して ★★★★★
ペルーで失敗して日本に戻ってきてからも、農場や鉱山経営に手を出すがこれも失敗、田舎に引きこもろうとするが、友人の紹介で日本銀行本店新築工事の建築所事務主任に採用される。そこから日本銀行馬関支店長、次いで正金銀行支配人から日銀副総裁へと出世、日露戦争では外債募集で軍費調達に奔走する。そしてここでこの本は終わっている。

解説にもあるが、すなわち52歳までのことしか述べられておらず、31年におよぶ後半生はブランクで残されてしまった。その後正金銀行総裁(1906)、日銀総裁(1911)、山本権兵衛内閣大蔵大臣、政友会入党(1913)、原敬内閣大蔵大臣(1918)、原敬暗殺後の総理大臣兼大蔵大臣、政友会総裁(1921)、護憲運動のとき爵位を辞して代議士当選、加藤高明内閣農商務大臣(1924)、金融恐慌のさなかに成立した田中義一内閣大蔵大臣のときパニックを終息させ(1927)、犬養内閣大蔵大臣では金輸出再禁止断行(1931)、「五・一五事件」で犬養首相暗殺後の斉藤実内閣、次の岡田啓介内閣の大蔵大臣をつとめ(1934)、1936年予算編成で軍部と対立、2月26日未明、赤坂表町の私邸で青年将校の襲撃を受けて死去した。この後半生がまた実に面白いのだが、残念ながら書き残すことなく逝ってしまった。

上巻に比べると仕事の話が主になってしまって面白みに欠けるかもしれないが、職場の人間関係などが正直に述べられていて、悩みは今と同じだなと苦笑する。後半の日露戦争における欧米での起債発行の苦労は本人は淡々と過程を記述しているにすぎないが、情報収集力とその分析力は陰の功労者の名にふさわしい活躍である。国家が一丸となってこの戦争に向かっていた息吹を感じさせる本です。

面白すぎ破天荒人生 ★★★★★
戦前の偉大な政治家の自伝でしかも地味な表紙。なんか堅苦しそう、とか退屈そう、という先入観を抱いてしまいがちですがとんでもない!これほど読んで楽しい波瀾万丈物語は滅多にありません。
留学したつもりが奴隷(といっても『ルーツ』『ベン・ハー』みたいのではなくて年季奉公人の下男っぽい感じ)に売られるわ、帰国後放蕩の末に芸者のパシリになるわ、運良く大蔵省に就職したのに前島密(一円切手の人)とケンカしてすぐやめるわ、と暴れ放題だった上巻に比べると、実業界で成功して社会的地位もついてくる下巻は随分おとなしめになりますが、その分日本の政治経済の重要局面に関わることが増えてくる上に、語り口の親しみやすさもあって飽きさせません。日露戦争の費用調達のために海外で奔走するくだりでは、通常軍事・外交・諜報に注目の集まりがちなこの戦争の財政的な側面を明らかにしていて、目ウロコの驚きを味わいます。戦争とは経済行為でもあるのですね。
この費用調達で名を挙げた是清はいよいよ国家経営の中枢に近づき、蔵相や宰相として金融危機に対処したり増長しつつある軍部と渡り合ったりするわけですが、残念ながらそこまで話が進まないうちに語り手たる当人が二・二六事件で殺されてしまい、自伝は未完に終わってしまいました。全くもって悔しい限りです。
それにしても、色々と問題の多かった明治大正の日本ではありますが、こういう迷走人生を送ってきた人が政界で活躍できる社会というのはいいですね。