裏話満載
★★★★★
永い歴史における日本プロ野球界を陰で支え続けている、プロ野球審判員。その審判員達の裏話や歴史が満載されております。
特に現役・OB審判員諸氏のストライクゾーンの捉え方を、OB選手達が述べておりますが、皆、千差万別の捉え方で、アマチュア野球審判員諸氏の目から見ても、多少今後の審判活動の参考になるのではと感じております。
審判の苦労
★★★★☆
著者は『巨人軍に葬られた男たち』『捕手論』『コーチ論』などで知られるスポーツライター。いずれもユニークな本ばかりだ。
本書は、野球の審判の実態に踏み込んだもの。二出川延行氏をはじめとした往年の「名審判」たちにインタビューを繰り返し、審判の苦労が描き出されている。野球ルールの複雑さ、審判になるのがいかに狭き門なのか、ミスジャッジの例、選手や監督の手関係など。どれも興味深い話ばかりで、審判というのが実に大変な仕事であることが伝わってくる。
ただ、氏のどの本もそうなのだが、なんだかバランスが悪い。思い込みで取材をして、一面的に書いているというか、大きく欠けているものがあるというか。うまく言えないが、読んでいて、審判というのは、それだけじゃないだろうという気がした。
けっこう昔の話から平成10年前後のエピソードまで揃えられており、幅広い年代の人に楽しめる本だと思う。
プロ野球の審判という職業を知ることができる本
★★★★☆
クロスプレーでカツラが舞った!とか、試合中に尿意(あるいは便意)を催したときの苦労などの、野球の審判にまつわるオモシロ話も多く紹介されているが、本筋は判定をめぐるトラブル(有名なものが多い)の原因と顛末を中心に展開される審判論である。
おそらく30代以上の野球好きなら知っている、元セリーグの審判員柏木氏・岡田氏などが語るその内幕やその当事者としての心境は非常に興味深く読むことができる。
日米の審判の比較もなされているが、著者は両者の大きな違いは『権威』だとしている。その考えは特段新しいものではないが、本書では日米の審判の置かれている立場の違いで説明するとともに、その『権威』を示すその具体的な事例として、審判の権威を傷つけたとして、レンジャーズ監督時代のバレンタインとヤンキース時代の伊良部が受けた審判からの“報復”を受けた事例を紹介している。
現在、メジャーリーグの試合は毎日のようにテレビで観ることが可能である。私もよく録画して観ているのだが、アメリカより日本の審判員の技術が高いように思えてならない。特にストライク、ボールの判定はそのように感じる。アメリカの審判のストライクゾーンはかなりアバウトであり、同じコースのボールがストライクになったりボールになったりして一貫しないことが日本より多い。アウト・セーフの間違いも多い。日本よりも監督・選手からの抗議も多い。
しかし、『権威』に守られているアメリカの審判は徹底して強気である。審判への暴力行為など考えられない。彼らより技術の高いはずの日本の審判たちが、毅然とした態度をとることの出来ない日本のプロ野球の仕組みは、やはり間違っているのではないか。
本書は審判の興味深い裏話を知ることが出来るだけではなく、そんなことも考えることの出来るなかなか優れた作品である。
熱いカープファン
★★★★★
プロ野球の審判員がまさに命がけの職業だということがよくわかります。
ボールが当たったり、選手と交錯したりといった意味だけではありません。
一つの判定が勝敗を分けてしまったときの試合後のファンの憤りです。
これが、審判に向けられたらたまりませんね。
遥かムカシ、広島東洋カープが今以上に弱かったときのエピソードは非常に胸に迫ります。
WBCでもどこかの審判が判定を難しくしていましたが、やはり、人間がやることなので、そこにはドラマがついて回ります。
大変面白く拝読いたしました。
因果な職業
★★★★★
審判といえば、常に批判の矢面に立たされ、また、選手たちの暴挙を受けることも数多くある。私たちファンも審判に厳しく、選手に甘くないか。この本はとてもよく取材されていて、試合を進行させる黒子としての審判を見直すきっかけにもなるものである。
また、日米の審判の比較も書かれている。私自身は日本型のやり方がやはりいいのではないかと思ったが、好き嫌いはおいても、この本で違いを認識できる。
選手の無知や審判の権利の低さ、審判自身の問題点から、様々な珍プレーまで多岐にわたって書かれており、審判というひとつの媒体を通しながら、様々な視点で野球を見ることができる。