目が開く!
★★★★★
著者がどれだけ虫好きなのかが伝わってきて、読んでいてワクワクする。
虫食いにもテクニックがあって芋虫は苦いはらわたを抜かないといけないとか、カメムシは食えるとか。ハチはスズメバチの子が美味しいとか。(蛇と同じで、毒がきついほど美味しいのかな?)
私は虫嫌い。でもそんなことを忘れさせてくれるほど、この本は読んでいて楽しい。
一番食べたくなったのはアフリカのモパニの木につく蛾の一種モパニ虫。これを買いにアフリカに行ってもいいかもしれんと思ってしまったくらい、食べたい。すごく美味しそうに書いてある。
カメムシも思わず口に入れそうになる。有る意味、危険な本?!
虫が嫌いな人にお勧め。虫のことが好きになることは出来なくても、虫が好きな人の気持ちがわかると思う。
あなたは虫を食べられるか
★★★★☆
目の前に出された虫を、食べられるか否か。
それが異文化を「頭で理解したつもり」になって終わるか
身体でコミュニティの中に入っていけるかどうかの
試金石になるという著者の授業風景が興味深い。
宇宙食などの蛋白源として注目を浴びていることは知っていたが
昆虫食は単なる食糧なのではなく、採ることそのものが楽しく
食べてうれしい、魅力あふれる食べ物であり
さらにその先の文化や環境などの包括的事象へ思いをはせる
ひとつのきっかけなのだと理解した。
著者の昆虫への情熱が伝わってきて楽しい。
ムシは地域の文化食
★★★★★
「ハチの子」を食した著者自身の原体験を出発に、世界各地でムシを常食とする人々を訪ね歩き、調査した紀行文的新書。食料が得られなくてムシを食べているのではないこと、ムシは地域に根ざした意外に美味しい文化食であること、などなど、ムシ食を通じてその地域の人々、ひいては環境問題までなかなか鋭い洞察を推し進めている。
大変興味深く読んだが、後半、著者の論調が、くどい。
「食」の奥深さをうかがい知るために
★★★★☆
かつて信州で、男性たちが目を輝かせて蜂の子取りの楽しさを語ってくれた。伊那に行くと、蜂の子だけでなく、イナゴやザザムシが小鉢で出された。つい先日訪れた飯田の小料理店では、クマバチの成虫が素揚げになって出てきた。
ある人は、「山の中で動物性蛋白が少ないから虫を食べるんだ」と知ったかぶりをした。
本書の中では糞虫の幼虫やカメムシまでが食べられており、それらは牛肉よりも高価で取引されていることが記されている。
虫を食べること、それは貧しさのせいでも、ゲテモノ食いでもなく、季節の移ろいや虫たちの生態を楽しみ、自分自身が自然と一体になる=自然とともに生きていることを実感する=ためのいわば「遊び仕事」なのだと、本書を読んで改めて確認した。