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未亡人の一年〈上〉 (新潮文庫)

価格: ¥860
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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続きを早く読みたくなる本 ★★★★★
 割と分厚い本だけど、非常に読みやすい英語で、しかも面白い。読み始めたら、次の展開が気になってなかなか読むのを止められなかった。
 いつものアーヴィングの世界で起こるように、人は突然死んで行き、登場人物達は何かにこだわりながら、生きていく。1958年の夏のLong Island。4歳のRuthは絵本作家の父Tedと美しい母Marion、そして死んだ2人の兄達の幾多の写真とともに大きな家で暮らしている。父の運転手として16歳のEddieがやってくる。Marionに恋してしまったEddie。母、Marionは家を出て行き、そのことが生涯Ruthを悩ませる。そして、1990年、36歳で作家となっているRuth。1995年、41歳で、未亡人にして4歳児Grahamの母であるRuth。そんな3つのパートに物語りは分けられ、Ruthを中心にユーモラスでちょっとグロテスクな世界が描かれていく。
 4歳のRuthがかわいらしい。16歳のEddieは輝いていた。夏のLong Islndの生活が明るい光の中にあればあるほど、その中で、苦悩しているMarionとTedが際立つ。
 愛と喪失そして苦悩についての物語。本当に面白い本なのに、日本語は絶版となっているみたい。アーヴィングファンは多いのだから、また再版してほしい。
殺人モグラ ★☆☆☆☆
アーヴィング唯一の失敗作です。
やや大衆的なミステリー要素をあえて織り込んでくるという
以前の作品に無かった試みは『サーカスの息子』で見事に成功していただけに、
本書には愕然とさせられました。

上巻はまだしも、後半は伏線を完全に殺してしまうというSF的暴挙が行われます。
駄目人間を描かせたら右に出るものはないアーヴィングが
本作でエディを生かしきれなかったことにもほんとうに残念。

ほんとうに残念。
原著はすばらしいが和訳はひどい ★★☆☆☆
そもそもタイトルの和訳がおかしい。A Widow for One Yearがなぜ未亡人の一年なのか首をひねる。登場人物の多くは米国北東部で教育を受けたインテリで、会話も大変に気が利いた文体が原著で使われている。さすがJohn Irvingで、読むのが本当に楽しい。しかし和訳を見てがっかり。原著にある「品」がすこしも感じられません。John Irvingのファンとしては大変に残念です。
最後まで楽しくは読めるが ★★★☆☆
子どもを失って破綻した夫婦。そこに新たに娘が生まれるが、再び子どもを失う恐怖に耐え切れず母は出て行ってしまう。母の記憶と母の語った死んだ兄の物語を求め続けながら、自分の物語を編み出し作家として成長していく娘の物語。彼女たちが失ったものの大きさを思えば、そこから回復する物語がこれほどまで長くなるのも理解はできる。とはいえ、その物語がこのようなものでなくてはなかったのか、という必然性を問われると、それは薄いようにも感じられてしまうのが弱さか。映画化された作品は、全体の1/3程度の、母が家を出て行くまでが描かれるが、小説以上に濃密な内容が描かれている。僕にはそれでも十分だったかもしれない。
やはり面白かった ★★★★★
アーヴィングらしいというか,突拍子もないストーリのようにみえて,実は普遍的なテーマ,愛について書かれた佳作.私は文庫になってから読んだ.そのせいか,表紙にあるキム・ベイジンガー(マリアン・コール役)とジェフ・ブリッジス(テッド・コール役)をついイメージして読んでしまう.読んだ人は大抵このキャスティングは正解と感じると思う.物語は高校生のエディがアルバイトでテッドの助手を勤めた夏のエピソードから始まる.エディがマリアンに恋して実に色んなことがあってアリアンが去っていくまで.その時,主人公のルースは4歳.次の舞台はいきなりルース36歳.この後,ルースが二度の結婚をして,本当に幸せを実感していくまでが描かれる.ルースの友人ハナ,今でもマリアン一筋のエディ,父テッド,一度目の夫アラン,二度目の夫ハリーを軸に話は展開し,マリアンは最後に再び登場.映画は観ていないので,ルース,ハナ,アラン,ハリーを誰が演じているかは知らない.私だったら誰にと考えてから,映画を観るのも楽しいかもしれない.下巻に出てくる有名なイエーツの詩が効果的でいい.