鬼道使い卑弥呼は古代日本の女王である。
★★★★☆
女王卑弥呼。このヒロインは今なお輝きを持って伝えられている。しかし彼女は光の伝説とは対照的に、暗闇に住む鬼道使いであった。
武力による支配は、常に反発を呼ぶものである。古代日本においても民衆は男王の軍の支配を、“神の怒り”ととらえて反発していた。この背景が鬼道使いの卑弥呼を、女王に押し上げたのである。そこでは神の声を聞く卑弥呼の言葉は絶対となった。30の国の神々は卑弥呼を通して1つとなった。
つまり卑弥呼は三十余国の神を1つに集め、倭国を一つにしたのである。この1冊は卑弥呼とその背景を描いている。古代日本の、枯れ枝のように捨てられた戦死者の腕や足、怒った民衆の男王の処刑、30の国々から集まった巫女の舞い、卑弥呼の言霊を待つ30人の王。卑弥呼がこれらの混沌の呻きを破り、一つにしていく様子が描かれている。
卑弥呼の謎
★★★★☆
卑弥呼といえば、日本史最初のヒロインとしても有名だが、文献など資料に乏しく謎の女性でもある。
本作で石ノ森氏なりの卑弥呼像を描いている。
卑弥呼というのは巫女のようなものであり、たぶん霊媒師・霊能者の一種だったのでしょう。その神通力と文明の象徴的な「鏡」が印象に残るように迫力ある絵を描いていたのが印象的だった。
九州に存在したといわれる邪馬台国の女王(?)として周辺のクニとの平和を維持していたようです。
姉と弟
★★★★★
石ノ森章太郎先生の大作、マンガ日本の歴史の第二巻です。
このシリーズでは一番気合の入った巻なのでお勧めします。
主人公は卑弥呼ですがもう一つの主人公は
最初卑弥呼に反抗して後に邪馬台国の為に生きることを決心した
庶民の姉弟でしょう。
しっかりものの元気な姉とその姉を慕って引っ張られる弟。
庶民は王を選ぶ権利がありませんが自由に生きることができる。
懇願されて王となった卑弥呼は自らを律し
邪馬台国の為に弟にも会わず奉仕しつづけます。
人は何のために生きるのか、
義務と理想を背中に背負うことで地に足をつける事ができるのか、
姉とは何なのか・・・
石ノ森さんはこの本で姉という存在に自分でも気付かない内に入れ込んで
描いている気がします。
たぶんこの本に出てくる「姉二人」は石ノ森さんのお姉さんの面影があるのでしょう。