第一線に立つラップ・スターの大半は充分にセクシーで、リスナーを魅了するのにことさらな努力など必要なさそうだが、ミッシーはラップを聴く女性の95パーセントを占めている「ハル・ベリーになれない人たち」の肩をもつ。そして、申し訳なさそうに付け毛を揺らす女性を「Let Me Fix My Weave」で祝福するのだ。自虐ネタといえば、ジャジーな「I'm Not Perfect」もそうである。
とはいえ、本作は「ミッシー・エリオットのすべて」というアルバムではない。ビートの魔術師として知られる盟友ティンバランドと共に、彼女は現在のラップ・マーケットで敬遠されることをやってやろうと戦っているのだ。本作の頂点は、ジェイ・Zをフィーチャーした「Wake Up」だ。ここでミッシーは、リベラーチェの真似をして華やかなエンターテイナーを気取ったり、最高級のスポーツ・カーを乗り回したりするばかりが能じゃないと思い出させてくれる。
ゲストとのコラボレーションの大部分が未消化で不必要と感じられるのは確かだが、バハマディアと同様に、ミッシーはコラボレーターを打ち負かすのではなく、一歩前進させることのできる数少ない女性MCである。タイトルとは裏腹に、このアルバムは実験的なラップがどれほど大きな成功を収めることができるかを見極めるテストとなるだろう。(Dalton Higgins, Amazon.com)