この本は、「親が世話をしなくても子どもは育つんだ!」って言いたい筆者が理論武装のために書いた本のようで、
筆者は社会学者さんなので、社会学的な事実の紹介は中々興味深いです。ただ、その事実から筆者が導き出している論理は、現代の医学的常識(母乳分泌の生理学や乳児突然死症候群の概念などですね)などから考えると、疑問を呈さざるを得ないです。
書名に「革命」の文字がありますが、著者は現在の「子育て支援」すら、目に入っていないように感じます。
「親」に比べれば圧倒的に「弱者」である「子ども」は、著者が紹介するように歴史的にも文化的にもさまざまな局面で「ほったらかし」にされてきています。
そしてまた、著者が感じているように、「母親1人に育児が強制されて、母親が追い詰められている」のも事実です。
現在進行中の「子育て支援」は、「母親だけが育児を担うのでなく、母親の代わりに社会の誰かも子ども(そして母親も)を見守ることにより、母親と子どもを手助けする」ことに主眼が置かれています。
現場を見ている人たちは、「母親1人に子育てを強制すると母親の精神が危うくなり子どもに危険が及ぶ」ってことに、気づいているんです。
本書が「世話嫌いの母の自己弁護」に利用され「ほったらかしにされる子ども」が増える原因になることのないことを、望みます。