著者の薄上秀男氏は、医者に手の施しようがないとサジを投げられた自分の難病を治療するために、人体の消化器官と味噌の発酵過程を分析して微生物発酵肥料を開発し、難病を治癒する健康野菜を生み出した偉人である。

　微生物発酵肥料のキモは、コウジ菌、納豆菌、乳酸菌、酵母菌に、米ぬか、生ごみ、緑肥、堆肥、化学肥料、有機物、無機物、ミネラル等を充分に咀嚼してもらい、それらを菌といっしょに田畑に入れると人間に素晴らしい諸々の恩恵をもたらしてくれるということである。

　この本は分かりやすく実践的であり、無農薬・減農薬の野菜を作りたい人のバイブルになるといっても過言ではないだろう。

農文協から出ているので仕方ないかもしれないが、園芸・農業のコーナー
に置いておくよりも健康のコーナーに在るべき本かもしれない。

「有機物を発酵させた肥料で育てた栄養分・ミネラル豊富な本物の野菜に
よって体質を改善し自然治癒力を高めていけば、百病は消え、半健康で
はない真の健康を手にすることができる。」という内容のこの本は成人病
をはじめ、根本治療法のわからない難病・奇病に苦しむ人々に、福音を届
けてくれるだろう。何しろ著者本人が、医者から匙を投げられた有機毒物
中毒・重金属中毒から生還している。さらに驚くべきことに、後に罹患し
た糖尿病の治療のため、高カロリー食によって自らの血糖の人体実験をし
ながら何が有効かを調べているのだ！まさに現代の神農氏である。

また、ありがたいことに、無農薬栽培のためのコンパニオンプランツや自
然農薬の作成法まで触れられている。これらや発酵肥料作製を全て実行す
るのに少々時間が必要なのが難点だが(肥料作製だけでも3〜4ヶ月かか
る)、この値段のこの一冊で環境汚染の化学肥料・化学農薬から足を洗
え、かつ安全でおいしい健康野菜を食することができ、健康までも手に
入れられると考えれば超お買い得であろう。

ただし、化学や微生物に疎い人は読み進めるのが大変だろうと思われる
ので、発酵関係や肥料関係の易しい本と併読することをお勧めしたい。