神様と人々の対話集
★★★★★
曽野綾子の書く文章は老獪だ。彼女の言葉には、虚偽と真実が同居している。
私はずっと彼女の「この世界は生きるに値するほどの価値を持っていない」という
言葉に何ともいえない反発心をもっていたが、その意味を最近得心した気がしている。
彼女の言う「この世」とは「あの世」、つまり神様の世界とこちら側の我々の世界
である「この世」との交換、行き来のことを書いていたのではないだろうかと。
クリスチャンでもない私が読んでも、この本には「神様」と人々の対話ともいえる文章がギュッと詰まっている。
曽野綾子の一冊目の入門書としても最適だと思う。お薦め。
わたしのバイブル
★★★★★
曽野綾子の言葉は厳しい。容赦なく、痛いくらいに読む側に真実をつきつけてくるので、人間のできてないわたしなどは、途中、何度も本を閉じたくなりました。でも、その厳しい言葉に自分が救われてきたのも事実です。いったい今までに何度この本に救われてきたことか。まさにわたしにとってはバイブルみたいな一冊です。
手元において読み返す1冊
★★★★★
著者の様々な著作から集めたアフォリズム集。この本を出した理由を著者は「ある読者から、読者の時間は限られているのでさわりの部分を集めたものはないでしょうか、と聞かれたことがあり、今は『曽野綾子がこんなことを言ってるよ』と思うようになったため」と述べている。事実、珠玉の言葉を抜粋した作品は多岐にわたっており、そんな言葉をじっくり読みたい人にはうってつけだ。また、並んでいる言葉を読んでいるうちに「もともとの作品では、どのような筋書きの中でこの言葉が語られたのだろうか?」という興味も涌いて、作品そのものを読んでみたくなる、どちらの楽しみも出来る1冊。何か真剣に考えたい時期にこの本を開いたら、胸に響く言葉があるかもしれない。