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日本史を読む (中公文庫)

価格: ¥840
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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ヒストリカル・イフは楽しい ★★★★☆
歴史の教科書じゃなかなか出てこない内容が続々登場して楽しい。
「政治的手法としての男色」とか小題をみても今まで知らなかった
事実が盛りだくさんでした。
 そういうトリビア以上に面白かったのが、歴史的事実の必然を語る
より可能性としてありえたことが起こらなかった何故? の視点が
たくさん入っていたこと。
 それにしてもなぜ日本は中国という巨大な文明から仏教は受容しつつ
儒教的なものは全面的に受け入れなかったんだろう?
 ますます歴史が好きになる本です。
日本の文化・文明について談論風発 ★★★★☆
 丸谷・山崎コンビの対談集は数多くあるが、本書は、「中央公論」誌上で8回にわたり連載されたもので、飛鳥時代から戦後高度成長期までの日本の通史が扱われている。斎藤茂吉「万葉秀歌」から相田洋「電子立国日本の自叙伝」まで40冊弱の歴史小説、戯作、評伝、歌論、哲学書等を素材に、想像力豊かで自在に「日本史を読」んでいる。
 2人の目利きが選んだ歴史書と、2人の碩学が語る当時の世相はいずれも興味深い。評者にとって特に面白かった箇所を具体的に挙げよう。1つは角田文衛著「待賢門院璋子の生涯」を紹介し、院政時代の宮廷(サロン)の乱倫について論じている箇所である。璋子が生んだ子(後の崇徳天皇)の父親は夫君の鳥羽天皇ではなくその祖父の白河法王であったことを、角田氏がオギノ式理論で厳密に証明している点を引用し、このことが保元の乱の伏線となったとの仮説は読んでいて楽しくなった。もう1つは鳥井民著「横浜富貴楼 お倉」を素材に、江戸下町生まれで元遊女のお倉さんが横浜尾上町に開いた料亭(サロン)とそこを贔屓にした明治の元勲達の話である。長州や薩摩出身の高官が何故頻繁に東京から横浜まで出かけたかの推測は説得性があるし、お倉の才覚と教養が、外務大臣の人選や外貨調達策に関与し日本郵船合併を斡旋する話には、興味をそそられた。
 著者たちは「ヒストリカル・イフ」は禁じ手といいながらも、大胆な発想と確かな学識に基づく想像は自由奔放である。もっとも親しい2人の座談は時には盛り上がりが過ぎて、奇談、法螺話の類いが散見するにしても、読む者に歴史に遊ぶ歓びを与えてくれる。
すばらしい対談 ★★★★★
博識なジジイ二人の対談集である。各章とも題材として取り上げている文献と各々の知識を基に歴史上のif等に大胆な仮説を持ち出したり、推理を繰り広げているのだが、それが実に的を射ていて圧巻。仮説、推理それ自体が物語を作り出し、実に広いイマジネーションを与えてくれる。まさに知識とはこう使うべしというお手本である。
歴史を考えるとき、左か、右かといったことでしか考えられない傾向があるが、それとはまったく違う次元の歴史観を味わえる。読み終えて非常に視野が広がった気になる。何度も読み返していく度に新しい発見がある、非常に中身の濃い対談集である。
頭をやわらかくしたい ★★★★★
今までも世界史よりは日本史好きでしたが、いろんな見方があるものだと教えてもらいました。教科書に書いてあること、歴史とはこうであった、という決まりきったものがあるという印象でした。それでも結構好きでしたが。でも考えてみれば昔を知るための方法はその時代にかかれたものや残されているもので判断するしかないわけで、それ自体だけではその人となりや、事件の発端まで本当はこんなことがあったのさ、なんてことは知ることが出来ない事もあるわけですよね。だからこそゆがめるというのではなくいろんな切り口で一つの事件なり人物なりを見つめてみた本もあるんだよ、こんな解釈もあるんだということが書かれていると感じました。歴史の表舞台からは隠れている人もいるわけですから。いやあ、私が何も知らなかったのですね、残念です。今までこんなふうに考えることをしていなかった。紹介されているのは正直知らない本ばかりでしたが、読んでみたくなりました、どれでも良いから。それで、もっと柔軟に日本史を知りたい気分です。