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伊丹十三の本

価格: ¥2,376
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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伊丹を語る時代 ★★★★☆
伊丹十三ほど世代間の評価が分かれる人も
なかなかいないんじゃないかな。
おそらく伊丹と同世代の人たちは
彼をスーパースターのように思ってるし
若い世代はせいぜい「マルサの映画を撮った人」
くらいの認識でしょ。こんな人も珍しいよね。

ああいう最後を迎えたこともあって
伊丹を語るのはずっとタブーになってた。
別に語っちゃいけないわけじゃないんだけど
なんだか語りづらいっていうかさ。
それがここ1〜2年で状況が変わって
記念館が誕生したりとか
伊丹の周辺がにわかに動き始めてる。
本書もその一つ。

幼少時代からの写真やさまざまな道具
伊丹のプライベートや仕事の足跡が
まるでカタログのように並んでいて
見ているだけでいろんな発見や驚きがある。
日本有数のデザイナーで、役者で人気作家。
そして映画監督でしょ。まさに「才人」だ。

伊丹のファンはもちろんだけど
若い人たちにこそ読んでほしい一冊。
こんなかっこいい人を知らないなんてもったいないよ。
とびきりぜいたくな本でした ★★★★★
故伊丹十三氏の多才ぶりは耳にしていたが、実際のところ、映画監督としての彼しかほとんど知らなかった。その死もどちらかというとスキャンダラスなものとして印象に止まっていた。だがエッセイが復刊されたのを読んで興味をもち、「ちょっとしたぜいたく」をしたい気になったある日、この本を注文した。

読んでみて、彼は一言では表せないすごい人だと思った。存在自体がふつうでない。才能の人、というより偉人?カリスマ? ことばが思いつかない。そして数多くの人に愛された。こんな稀有な人を亡くした悲しみを、当時、無知によって感じることを免れた自分は、むしろ幸せだったかもしれない。

この本がまたすばらしく、「ちょっとしたぜいたく」におそろしくぴったりだった。若かりし彼のモノクロームの写真、父・万作の撮影した幼少時の写真、湯河原の家の写真、愛用品の写真、主にエッセイスト伊丹に向けられた多くの人からの寄稿やインタビュー、長編映画以外の映像作品紹介、妻や息子への私信、絵、デザイン作品、年譜・・・・・ 彼が小学一年生で描いた絵には驚嘆するばかり。彼の手がけたもの、愛したものの内包するうつくしさ、豊かさに胸を打たれる。幼少期の写真の愛らしさと聡明さは一度見たら忘れられない。彼の本棚の写真、同じ本がうちにも何冊かあるが、持ち主によって同じものでも姿を変えてしまうらしい。愛用品・小物のひとつひとつに何か特別なものが宿っているかのようだ。もちろん、撮影した野中昭夫氏のすばらしさも記しておかねばなるまい。

にわかファンのわたしですらこうなのだから、エッセイスト時代からの彼のファンにとっては垂涎の一冊であり、涙なくしては眺められない一冊であり、とにかく宝物になるに違いない。そう思われる本だ。
ココロの師匠、伊丹さん ★★★★★
 「あっ、伊丹さんだ!」そう思った瞬間、この本を手に取っていた。
 わたしが高校生だったころ、「女たちよ」を読んでもの凄いショックを受けた。「スパゲティの茹で方は、アルデンテでなければならない」とか、「アーティーチョークの食べ方」とか、学校でも家でも教えてくれないことが、そこには数限りなく書かれていたのだ。

 伊丹さんの本はわたしに多くの世界を見せてくれた。世の中にはこんなに面白いものがたくさんあるんだよって教えてくれた。そしてドキドキ、ワクワクした。その後のわたしの嗜好に大きな影響を与えてもらったのは間違いない。

 今日、この本に出会ったのは単なる偶然ではなくて、必然なのかもしれないと思う。本棚で埃をかぶっていた伊丹さんの本を、もう一度読んでみよう!という気持ちが湧いてきた。