一言で言えば、養老先生の自分史。
それにプラス･アルファという感じの本。
養老先生は十分まっすぐな道を歩いたと思えるけど（最後の履歴書から見ても）、本人としては曲がったんだなと思った。
大学紛争のことをもっとよく知りたくなった。
大学紛争に対する知識があればこの本の見方ももう少し変わると思う。

　
　養老先生の語りを、恐らく口述筆記したと思われる著作。文章は荒いし思考も必ずしも論理立てて展開されるわけではないので、文体を楽しみたい方には向かないが、一流の研究者としての氏の視点の片鱗を垣間見ることができて興味深い。
　死生観についての冒頭のモチーフ「死のことは考えても仕方ない」ということから人生論に展開するかと思いきや、人生論の周辺をぐるぐると回って幕を閉じるという印象。
　もうちょっと奥深いところまで話を聴きたかった。