変わる言葉
★★★☆☆
1946年に創元社から出たものの復刻。
「すみません」「ありがとう」「お礼をする」など、普段、何気なく使っている言葉の源を探ろうとした一冊。試みとしては面白いし、納得させられることしきりなのだが、同時にかなりの欠点を抱えた本でもある。
戦中、『婦人口論』に連載されたもので、柳田自身も若い女性のために書いたと述べている。本文のあちこちにも、日本語を乱していくのは女性であるという意識が垣間見えて、ちょっとどうかと思う。
戦中ということもあり、「正しい日本語」を押しつける姿勢も強硬。現代の日本に重なる部分もあり、色々と考えさせられる。
まあ、逆に、本書のテーマである「変わる言葉」を実感させられたりもするのだが。
そして、最大の欠点は読みにくさ。1946年当時の言葉の用法や乱れが俎上に上げられているのだが、60年たった現在では、その言葉づかいにも問題意識にもついていけない。
研究者か老世代向け。