でも、そこに、裏の意味を読み取り
本音と建前を、わかっていながら、
ダメになるとわかっていながらも、そのまま、ほったらかして
おくような現実がある。
著者の観察力に、脱帽。
かつての星製薬をわずかな期間ながらも受け継いだ著者が、つかの間経験した一国一城の主だけが直面する、持てる権力とそれに伴う不自由さ、侘しさ。江戸の時代の地方城主に語らせた治世の日々を淡々と書き綴ったストーリーに、星自身が投影されているように感じたのですが。
高度成長期の時代にあって、斜に構えたSF作家などという的外れな論評も受けた著者の、素直で狂おしい告白が聞こえてくるようです。