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肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公文庫)

価格: ¥620
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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古さを感じさせない ★★★★★
四季があり、多雨で高い穀物生産性を維持できる日本の風土。
土地が貧弱で土地の生産性が低く、主たる栄養源を牧畜に頼らざるを得なかったヨーロッパの風土。
後者では家畜の存在がずっと身近であったため、人間と動物の間に厳密な線引きが必要であり、それがやがて現在も続く人間の間の線引き、つまり階級社会を生み出した。
従って二つの文化は、そもそも人間の位置づけから根本的に違う。

こういった内容が、文明の発祥から現在(といっても1960年代)にいたる社会変化にからめ、分かりやすく解説されています。

本書は約40年前に書かれた本なので、用いられている個々の数値が古いのは仕方ないです。
しかし書かれていることの本質は、現在の世界に当てはめても十分通用します。

自分の常識=世界の常識ではない。
頭ではわかっていても、なかなか感覚としてとらえられないものです。

個人的には、例えば日本に定着しているキリスト教と西欧のそれとの違いに対する違和感や、クジラ問題のような欧米的正義の一方的な押し付けにちょっと不快感を感じていた時だったので、本書を読んで少し納得がいった気がしています。

草食動物である日本人と肉食動物である西洋人 ★★★★★
肉を食べないで来た日本人と肉食を常としてきた西洋人との違いは何か。日本人から見た牛や馬は一緒に働く仲間だが、西洋人から見れば食べる側の人間と食べられる側の家畜は明確に区別される。これが階級の発生の理由だと著者は考えます。人間と家畜の間の区別が人間と人間の間にも及ぶ。ルイ十四世の壮大な庭園を見た著者はそう納得します。

こういう発見は肉食が当然という文化ではできなかったと思います。人類の中では少数派の非肉食文化の日本人だからこそ為し得た貴重な研究です。

古代インドの『マヌの法典』では、被害者がバラモンかクシャトリアかヴァイシャかシュードラかで、同じ犯罪でも量刑が大幅に違いました。紀元前6世紀のヘロドトスの『歴史』によると、ギリシア人たちは乳搾りに従事する奴隷が逃げないよう目を潰していたといいます。日本の封建時代の身分が違う云々の話どころではありません。

日本の身分の違いが量の違いだとすれば、西洋や古代インドの階級の違いは質の違いです。人間と家畜の間の区別を人間の中に当て嵌めたのが階級の発生とする著者の考察をもってはじめて、インドや西洋の階級が理解できます。