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味覚極楽 (中公文庫BIBLIO)
価格: ¥940
カテゴリ:
文庫
ブランド:
中央公論新社
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いかにも美味そうな文章
★★★★☆
昭和初期の美食家に対する連続インタビュー記録。当時の世相が垣間見れるのもおもしろいが、現代の美食記が客観的視点と蘊蓄を大事にするのに対し、本書の持味はそれぞれの人間の思いであり、特に和食に対する記述は素晴らしく瑞々しさを感じさせる。
戦前の美食家たち
★★★★☆
1927年に『東京日日新聞』に連載され、光文社から単行本として出たものの復刊。本書の底本は1957年に竜星閣から出たもの。
下母沢寛が小説家として独り立ちする前、新聞記者をやっていた頃の仕事で、当時の美食家たちを訪れ、インタビューを行っている。華族、政治家、実業家、歌舞伎役者など。その話しぶりを下母沢が良く再現しており、雰囲気がある。また、竜星閣から出すに際して、インタビューした当時の思い出を書き加えている。
戦前の美食家の特異な世界がうかがえる。妙なこだわりがあったり、外遊体験が基調になっていたり。社会的地位が美食と結びつくさまも面白い。話に登場する店もだいたい決まっていて、当時の「旨い店」がほんの数軒に限られていたことが分かる。
貴重な一冊。
聞き書き「私の味自慢」
★★★★★
子母澤寛が新聞記者時代に各界の著名人を訪ねて、”美味しいもの”について聞いた話をまとめたもの。とくに盛り上がりもないのだが、著者が付け加えた短い後日記とあいまって味覚随筆の名作として名高い。私は伊丹十三が薦めていたので知った。
戦前の話なので、もう食べられないものや無くなった店も多いし、食の水準が上がっている分野もある筈だが、読んでいると毎回いかにも美味そうなのが不思議。天ぷらや寿司が戦前どういう扱いだったかもわかる。