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アメリカの家族 (岩波新書 新赤版 (671))

価格: ¥1
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
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淋しいアメリカ人 ★★★★★
 この本は、今日、アメリカの家族がどう変貌しているかを、実在するさまざまなカップルや親子にたいするインタヴューを通じて描く、たすぐれたドキュメントであり、また期せずして家族というものを通じて浮き彫りにされたアメリカ人の価値観の紹介である。

 「最近の国際的な調査で、人生において大切なものの上位に、アメリカ人は幸せな家族生活、自由、宗教を挙げている」という。流動的で多様化した社会に生きていれば、自ずと緊張感と孤立感の高い生活を強いられ、その反動として「親密な関係」を強く求めることになる。アメリカの結婚や離婚を含めた家族の風景は、自分の嗜好に合った親密な人間関係を築き上げるために払うアメリカ人の必死の努力と実験の場である。

 平均的アメリカ人はチャンスを求めて一生の間に何度も移動・転居を繰り返し、気がつけば身近に心を割って話すことのできる信頼できる人間がいないという事実に直面し、深い孤独感に襲われる。多様性というものも多くの場合、人と人とを隔てるものであり、緊張を強いる原因になる。人種・民族の相違、宗教の相違、地域による気質の相違、貧富の差、考え方やライフスタイル・価値観の相違など、こうしたすべての多様性を建前として受け入れながら生きていれば、ダイナミックで刺激溢れる社会であるには相違ないが、ほっと一息ついてリラックスしたいときには、緊張や孤立から解放され、親密な人間関係のなかに憩いたいだろう。緊張しなくとも良い人間とは、自分がもっとも大切と考える点において一致できること、あるいは何も考えずに自分をさらけ出せること、すなわち同質である、ということではないだろうか。
 アメリカ人が離婚と再婚を繰り返す理由というものも、こうした高すぎるとも思える願望や理想を、ピューリタン的生真面目さで追求している結果である、とも言えなくもない。

家族とは? ★★★★★
 家族とは何なのか?その問いをアメリカの家族に向ける。

 なぜ、筆者はアメリカの家族を取り上げるのか。それは、人間の欲望を極限まで追い求めた姿がそこにあるからである。これまで、アメリカ人は、ほしいものがあれば、何でも勝ち取ってきた。プライバシーを尊重するこの国では、とくに家族について政府があれこれ口出しするのを、人々はよしとしない。自由をほしいままにし、権利を主張し、アメリカ人はどこに行き着いたのか。何を求めてここまで来たのか。
アメリカの家族を定義するのは不可能なほど、その形は多様化している。わたしたち日本人の感覚では、およそ家族らしくない、血のつながりのない家族も多い。当たり前のことが当たり前ではない家族。だからこそ、私たちが見失ったものが、そこに見えてくるかもしれないと筆者は言う。

 これは決して遠い国の話ではない。「自由」を求めて、アメリカのあとを確実に追っていこうとしている私たち日本人に、改めて「家族とは?」と問いかける一冊である。