アメリカへ行けば子供は苦労しつつもアメリカ文化と英語に適応して,バイリンガルになり,ステレオタイプ化された帰国子女候補や国際人の卵になる,という通説が単なる思い込み(幻想?)に過ぎないことを具体的に説明しているのは本書のユニークなところ.子供の抱えるストレスがどんなもので,その結果精神的に不安定になった例も数多く紹介されている.また,日本からアメリカに来たら現地校が受け入れてくれるのは当然だと考えることが,ときには現地住民にとって傲慢な態度に映る,という議論は,より多くの日本人が知るべきテーマだと思う.