ティーンエイジ・ファンクラブは、1991年に『Bandwagonesque』でメジャーレーベル・デビューを果たした後3分間にわたって次代の大物として誉めそやされた。そのアルバムは今でも彼らのベスト作品だ。茶目っ気たっぷりにやすやすとビッグ・スターに近づいて、ほんの少しやましさを覚えただけでその魅力のほとんどを頂戴してしまった。それから6年が経って音楽の流行がいくつか変遷した後も、ティーンエイジ・ファンクラブは相変わらずカーステレオから大音量で流れるような太陽にあふれた楽天的な曲を書き、歌っていた。『Songs from Northern Britain』は全盛期の彼らには相応しくないが、Ain't That Enoughは、ここ数年に出されたザ・バーズのコピー作品としては最高の出来だし、Start Againの明るさときたら、救いようのないほどの悲恋などないと思わせるに十分だ。バンドの3人の対等のソングライターたち、ノーマン・ブレイク、レイモンド・マッギンレイ、ジェリー・ラヴはいずれも救いようのないロマンチストなのだ。「君なしには魂が抜けてしまったようだ」といった歌詞は紙に書くと物笑いの種になりやすいが、彼らの声が心温まる誠実さをもって溶け合うときに文句を言えるのはよほどの皮皮肉屋だけだ。 --Keith Moerer