本書は大きく分けて3部から構成されており、第1部では、Active Directoryを構成する基本要素であるフォレスト、ドメイン、ドメインツリーなど、新しい概念について述べるととともに、それらの組み合わせや機能など、Active Directoryの基礎的な解説を行っている。
第2部は、組織に合ったディレクトリ階層の設計手法について解説した、本書のメインとなる部分である。本書では、実例に近いモデルとして、仮想の多国籍企業を取り上げ、名前空間の概念設計および物理設計のアウトラインを考え、その後詳細設計を検討するという方針で実際の設計手法を解説している。
第3部は、スクリプトによるActive Directoryの管理について述べた、開発者向けの内容となっている。Active Directoryのオブジェクトの操作をスクリプトにより自動化することにより、管理の効率化を図ることできる。
本書は、内容的に高度なものとなっている。Active Directoryの導入価値を検討している人や、Acitve Directoryのインストールや設定手順を知りたい人は、入門書も併せて読む必要があるだろう。一方、企業の部門規模・エンタープライズ規模のネットワークの設計・管理を、Active Directoryを用いて行おうと考えているWindows2000 Serverの管理者にとっては、必携の1冊となるであろう。(福島紀行)