I Want to Hold Your Hand
価格: ¥1,094
タイトルからしてビートルズ曲集かと思いがちだが、ビートルズナンバーはタイトル曲だけ。主にスタンダードナンバーをやっているアルバムである。
「オルガンのコルトレーン」といわれたラリー・ヤング、コルトレーン・グループのドラマー、エルヴィン・ジョーンズと組んで、64年に『トーキン・アバウト』を録音したグリーン。翌65年には、そこにハンク・モブレーを加えて本作を録音した。ややこわもてのメンバーながら、内容は実に親しみやすく、グリーン特有のブルージーでソウルフルな演奏が楽しめる作品だ。
注目のビートルズナンバーは、原曲の雰囲気とはだいぶ違っていて、さわやかなボサノヴァ仕立てだ。今日ではジャズミュージシャンがビートルズナンバーを取りあげるのは珍しくもなんともないが、この時点でビートルズ曲をカヴァーしたのは画期的だった。
シングルラインを基調としたグリーンのギターは、シンプルでわかりやすい。そのわかりやすさこそグリーンの魅力だ。ジャズは決して難しいものばかりではないのである。(市川正二)