ポートレイト・オブ・セロニアス+1
価格: ¥1,835
バド・パウエルは持病の精神疾患のため、病状の変化に伴って、その音楽性も微妙に変化していく。一般に、前期は圧倒的なテクニックを維持していたが、後期になるほどそこに乱れが出ている。他方、後期の作品ほど、彼の内面からにじみ出る深い味わいが演奏に反映されているともいわれ、時代を追って彼の演奏を聴いてみるのも一興だ。
このアルバムは、晩年にヨーロッパへ旅立つ直前にアメリカで録音されたものである。若かりしころのパウエルに音楽理論を教えたセロニアス・モンクに捧げた作品だ。
後期の演奏ながら、技術もしっかりとしている。また、長年住み慣れた故郷をあとにする感慨からか、幾分哀感をこめた情感の表現は前期にはなかったもので、聴く者の心情に強く訴えかけてくる傑作である。(後藤雅洋)