プログラムは今回も、ボッケリーニの協奏曲が2曲、コープマン指揮のバッハのチェロとオーケストラのための変奏曲グループで、これにはゴールドベルグ変奏曲が入っている。たまにしか成功しない、ソリスト泣かせの曲ばかりだが、もちろん、マは高く飛翔して曲の難所を巧みに乗り切り、みごとな和音を紡ぎながらオーケストラに溶け込んでいる。ボッケリーニのコンチェルトはこのレコードの核である。とりわけ有名な変ロ長調では、マとコープマンはオリジナルに戻ることによって、より原曲に忠実な形を追い求めている。それだけに聞き慣れた(チェリストで作曲家のグリュッツマッハーが他の曲を混ぜ合わせて作った)ものとは違う。ここで、マは彼の妙技、魅力、そしてオーケストラとの親密なやりとりから生まれる喜びを、あますところなく見せてくれる。彼の微笑みが見えるようだ。そこから生まれるのは歓喜そのものである。(Edith Eisler, Amazon.com)