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ヨーロッパの中世美術―大聖堂から写本まで (中公新書)

価格: ¥5,980
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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あくまで中世美術に近づく糸口になる書としてなら ★★★☆☆

 今年の夏にスペインに旅した際、バルセロナのカタルーニャ美術館でロマネスク芸術の一大コレクションを目にし、さらに聖地サンチャゴ・デ・コンポステラで大聖堂と巡礼文化にほんの一時触れる機会がありました。そのことを契機に、ヨーロッパの中世芸術についてもっと知りたいという欲求が私の中に生まれました。折よく今年7月に本書が出版されていたことを知り、手に取った次第です。

 320頁近い、中公新書としては比較的厚手の書です。著者は愛知教育大学の教授。
 聖遺物、イコン、写本、巡礼、建築、修道院、壁画、といったジャンルにより分けて章立てをしながら、古代とルネサンスの間に位置するヨーロッパ美術の特徴について、です・ます体で丁寧かつ平易に綴っていく試みがされています。

 読了後の率直な感想を述べれば、各章に記されていることはどちらかというとエピソード的な事柄の積み重ねが多いような印象を持ちました。様々な歴史的事件や聖書に登場する物語が次々と取り上げられているのですが、並列的に綴られているために、章の中の各項・各ページを読み継いでいけば知識や情報が深化する、という思いは味わえませんでした。

 あとがきで著者自身がこう記していました。
 「この本ではほんのいくつかのことを紹介したにすぎず、中世美術に少し近づくきっかけであると思っていただければありがたい。」
 その言葉通りの目的を本書は一応果たしているかもしれません。
わかりやすく、読みやすい入門書 ★★★★★
 ヨーロッパの中世美術の基本的なところを要領よくまとめた好著である。ヨーロッパの中世美術といえば、キリスト教美術が中心になる。本書はそもそものこの宗教の起こりから始まって、カトリックとギリシャ正教への分裂、時の権力者の弾圧と容認等々の歴史的背景が語られる。歴史的背景が語られたあとで、おもむろにその美術的成果に入っていくので、とてもわかりやすい。実際に本書で紹介されている建築物、絵画等々を観る際に鑑賞度が深まることは間違いがないだろう。美術品は、目の前にある現物が「美しい!」と感じればそれでいいとは著者は考えていないのだ。

 「です」「ます」調のやさしい文章で、内容的には決して難しくはない。どんどん読み進むことができる。読み終わった後に何も残っていないようでは困るが本書にはその心配がない。章ごとに理解が深まるように書かれているので、読み終わったあと、良い意味で「もう一度読み返してみようか」という気になる。

 巻頭のカラー口絵を含め、多数の写真が理解を深めるとともに、囲み記事の「コラム」がなかなかいい。「美術の主題とされることが多い聖書のエピソード」なんて、なかなか類書にはない試みではないだろうか。さらに、「フレスコ」「テンペラ」等々の絵画技法のごくごく基本的なところも書かれているのは、美術ファンにとっては誠にありがたい。
美術=信仰=生活だったヨーロッパ中世 ★★★★☆
「巡礼」「聖遺物」などいくつかのテーマに分け、中世ヨーロッパ美術について描いた。本書を読んでいると、作品説明が即ち当時の歴史やキリスト教の説明となる。美術が信仰と分かちがたくつながり、その美術観に充ちた市街地設計の中で人々が暮らしていた。ブルージュ、シエナ、スプリトなど中世の構造、建物が残る街で今も人々が暮らしているのを見ると、確かにキリスト教にとらわれた文化ではあったが、ヨーロッパの人々の根底にある「静的な美」が今も人間を引きつけるのだと思う。元々中世が好きではあったが、読んでいると中世の持つ「停滞」「重苦しさ」というイメージより、華やかさを感じた。

美術書なので当たり前ではあるが、図版が非常に多いのがよい。美術はできればオールカラーが良かったのだろうが、写真がないのとは雲泥の違いだ。一品一品について、なじみのない時代・宗教背景を加えつつ紹介しており、仕事の丁寧さも感じる本だった。
近寄りがたい中世美術を、より身近に☆ ★★★★★
本書は、西洋美術史を専門とし、

現在は愛知教育大学教授である著者が

西洋の中世美術について概説する著作です。


ローマ・ギリシアとの連続性や

キリスト教徒の関係など、中世美術の全体像を概説した上で、

信仰、聖遺物、都市、写本、そして巡礼など、

テーマごとに個別の作品を紹介します。


美術史の著作というと専門用語が並び

近寄り難い印象がありますが、

本書は話し言葉で書かれ、専門用語も必要最小限なので

気軽に読み始め、読み通すことができました。


観光のような巡礼、中世美術とルネッサンス美術の関係など

興味深く、もっと深く知りたいと思うことは多くありましたが、

とりわけ印象深かったのは、

カンタベリーの修道院について論じた12章。


私の場合、作者の顔がなかなか見えてこないことが

中世美術を敬遠する一因でしたが

ここでは修道院の復興工事を指揮した仏人建築家ギヨーム・ド・サンスについて

作業の工程や、建築の特徴をつぶさに紹介しているので

遠い過去の建築家でも身近に感じることができ、

彼が建てた修道院も、ぜひ実際に訪れたいと思いました。


ルネッサンス以降の美術と比べて、

縁遠く、興味を持ちにくい中世美術について、

平易かつコンパクトに解説した本書。


美術史に興味がある方はもちろん

ヨーロッパ旅行のご予定などがある方には、

強くおススメしたい1冊です☆
わかりやすい本 ★★★★★
通史ではなく、「修道院」「巡礼」「聖堂の壁画」「写本」というようにトピック別で中世美術の見どころを解説しています。
これまで全集などで、写真も見て解説も読んだけど、「さて修道院ってそもそも何?」みたいなところがありました。この本は、そういう疑問に答えてくれます。
文章は読みやすく、内容は深いです。特に中世美術とルネサンス美術の問題については、「うーん」と考えさせられました。

最初に美しいカラー口絵がついていますが、同じ中公新書の「ロマネスクの旅」シリーズのように、全ページカラーで中世美術のことを色々説明する本を出してほしいなあと思います。