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パニック・裸の王様 (新潮文庫)

価格: ¥578
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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組織、社会における人間の生きざまを描いた小説集 ★★★★☆
開高健の小説を読んだのは、高校時代に『輝ける闇』を読んで以来であり、約15年ぶりであった。生の厳しさをグロテスクなまでに描いたという点で、本書の「逃亡記」は記憶の彼方にある『輝ける闇』と似通っているような気がしたが、基本的に本書に収められている小説はルポ的な性格が強い開高健の代表作である『輝ける闇』とは大きく異なり、組織、社会における人間の生きざまを作家、芸術家ならではの視点で描いたものばかりである。これらの小説に通底しているのは、個人を抑圧する組織に対する冷徹な眼差しである。県庁、キャラメル会社、絵具会社が個人を抑圧するものとして描かれ、筆者は、これらの組織の抑圧にも関わらず、これらを翻弄する自然現象(「パニック」)やこれらにも関わらず発露される個性(「裸の王様」)を感動的な筆致で描いている。開高健は若い頃、企業に勤めていたというが、その頃の経験が組織のメカニズムを描く上での糧となっているのだろう。

本書にはいい小説が揃っているが、他方で若干の物足りなさを感じたのも事実である。どれも短編・中編だということもあるだろうが、物語には斬新さをあまり感じなかった。傑作「裸の王様」でさえ、プロット的にはテレビドラマ並であると言っては言い過ぎだろうか。とは言え、文体は理知的であり読みやすく、組織に対する冷徹な眼差しには共感できる人が多いだろう。間違いなく古典として読み継がれていく小説集だろう。
クラクラクラリ。 ★★★★★
高校生のころ、
国語の教科書に掲載されていた『パニック』に魅了されて、
本書を手にした。

どの短編も素晴らしかったが、なかでも、
『流亡記』にはクラリと来た。
レンガを1つ1つ積み重ねて万里の長城を築く、
奴隷同然の男の話だ。
わたしの手にもレンガが見えるような気がした。

開口健って、目まいを覚えるほど魅力的な作家だと思う。
ものすごい文量 ★★★★☆
4編の短編集ですが、そのページ数以上の文量に圧倒されます。そのため「パニック」や「裸の王様」では時間軸に沿っての主人公の心理が非常に分かり易く、それに伴う緊張感もリアルに感じる事ができました。多くの読者が開高健に魅せられ、離れられなくなるのはこのような文章の麻薬によるものだと思います。ただし、私の場合、今回がはじめての開高健の小説体験だったため、最後の「流亡紀」ではその言葉の洪水に流されてしまった感じがします。
収録作のどの作品が最高傑作なのかは教えられない ★★★★★
表題作の「パニック」「裸の王様」ともに抜群に面白い。実はもっと面白い作品が収録されているのだが、タイトルは教えられない。
収録作のどの作品が最高傑作なのかは、購入して自分で確かめてほしい。
突然読み返したくなりました。 ★★★★☆
 高校時代に読んだ「巨人と玩具」「裸の王様」が急に読み返したくなった。日本の純文学の小説はほとんどといっていいほど好きになれなかったのですが、これはなぜか気に入っているのです。
 前者は、増村保造によって映画化されたらしい。未見だが、是非、見たい。後者も映画向きの素材だと思う。