いまだすっきりというわけにはいきませんが
★★★☆☆
第3巻は天智天皇そして天武天皇(大海人皇子)が中心となります。中心となるイヴェントは壬申の大乱です。後半は天智天皇の娘たちである女帝たちが中心となりますが、女帝の行動もこの大乱の影響を受けています。しかしながらこの内輪もめともいうべき、繰り返される数々の皇子殺しはどう理解したらいいのでしょうか。当時の婚姻関係の中に本質的に根ざしているのがこの継承にまつわる争いなのでしょうか。もっともこの婚姻関係の形式が変貌してしまえば、物理的にこの継承者がいなくなってしまっていたのでしょうけど。この皇子殺しの後にやっと「父から子」、「父から娘」、「母から娘」への流れという「秩序」の萌芽が見えてきますが、はたしてこれを「秩序」といっていいのでしょうか。「禁裏」と「朝廷」という2つの形が出来上がるこの流れの中で、この「秩序」の構築に腕を振るうのが、藤原不比等です。もっとも「枠組み」の構築だけではなく、「定め」と力のせめぎ合いの中で、定めや枠組みのの「隙間」を恣いままに歪めていくのですが。そこでは帝は、全て傀儡で、虚ろなる形代という役割を演じることになっているのです。